キウイ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
良い作品です。好きは好きです。
この映画のセリフでいちばん記憶に残っているのは天皇陛下の玉音放送を聞いたあとの、主人公のすずさんの「そんなん覚悟の上じゃないんかね?最後のひとりまで戦うんじゃなかったんかね?いまここへまだ五人も居るのに!まだ左手も両足も残っとるのに!! うちはこんなん納得できん!!!」でした。
このセリフを聞いたとき、今までそんなこと考えたこともないくせになんとなく「あ〜あ、、、言っちゃったよ‥」と思いました。
「この世界の片隅に」が上映された2016年は、他に「シン・ゴジラ」と「君の名は」が上映されました。はっきり言って大豊作な年でした。特撮が好きというのもありますが。
ただ「シン・ゴジラ」が日本アカデミー賞で主要賞を総なめにしたときの会場の微妙な空気といったらいたたまれずにテレビのスイッチを切る勢いでして個人的にはそれからというもの民放放送をほとんど見ないまま今日に至っています。
しかし一方では内心「シン・ゴジラ」が日本アカデミー賞総なめはないなぁというような感覚も持っておりました(でもシン・ゴジラ以外に目立つ実写なかったしとも思ったり。ぐるぐると‥)シン・ゴジラは横においといてもこの2016年を最後に何かが終わったような気がします。もしかしたら「戦後」かもしれません。
すずさんの当たり前の日常‥雑草など金がかからない食材を使っての工夫をこらしたレシピや、着物をもんぺにリメイクするなど今で言うところのリメイク倹約主婦ぶりや、新婚の夫とのキスシーンは今とまったく通ずる感覚で、うおー!感情移入するー!じゃなくって、なんだか疲れました。
戦時中を身近に感じたくない。もっとチャラチャラ生きたかったのに2016年を転機に何かが変わりました。もちろん映画のせいではなく映画は時代の雰囲気を掬い上げて作品になっただけなんでしょうけどね。
この作品は個人的には一回観ればもう十分ですが、フランクにフリースタイルに一度は観てみることをオススメします。みんなどう感じるんだろう。