みかづき さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
かっこいいバトルなんて存在しない。心の距離を純粋に辿ろうともがく。魔法の世界で
私のどーでもいい感想日誌を読んでくれてありがとう。
妖精や魔法の存在が、異世界モノや魔法で倒す系とは全く異質。
「厳か」であるところは秀逸であり、当作の基盤にある。
主人公のチセが、父と弟、母と幼い頃に別れ、
物語の始まりとなる15歳までの描写は僅か。
だがその多感なときの『痛み』、その毎日は、
忘れえることは出来ない、
常人には想像し難いものであったろう。
元々「人外」の姿・状態の黒い茨の魔法使いエリウス。
外から眺めるように「人間を理解しよう」とし、
徐々に人間に近づいてゆくエリウス、その心情は、
表情なしの骨顔、「声と目」の抑揚だけのため、
情緒面を伝えるも、共感できる→から
よもや感動までできるひとは、残念ながら少ないとおもう。
だが、声優さんの声はとてもあっていて
主人公をとてもひきたてている。
バトルは、だいじなものを奪い、奪われる
というテーマで終始行われた。
バトルかっこいいモノ でなく、尊い。
主人公は、人間に限らず身近な他者の心の痛みに極めて敏感で、
自己犠牲を厭わない最大限のちからで他者を必ず救おうとする
(今回はヒーローでなく)正義もののヒロインだ。
それが連続して、わかったときは戸惑った。
だが、自分がもつ強烈な『痛み』が
他者の『痛み』を見ぬふりができない
と言う事はよく描写され、伝わってくる。
この『痛み』が 当作のテーマだとおもう。
そして
自分の魔法力に対して、体が極端に脆く、自己制御ができない。
ヨセフとの最終盤のやりとり
「他者を犠牲にするな!」
『ならば自分が犠牲ならいいのか!?』
この問いに主人公はハッとする。。
かつていなかった、自分をなにより大切に想ってくれる者が
今は、いることを。
その者たちを天秤にかけて捨てる
同じかそれ以上の愚行だと言っているように
私には聞こえた。
永世を渉る巨大な力で諸悪の根源たる"灰の目"を
掃討するという話にはならない。
共存する妖精たちの清濁混合、無邪気さとの等しさとも感じとれるが。
説明されない、消化しきれない部分は残る。
"灰の目"は天災のようなものなのだろうか?
音楽は惜しい・・。歌詞がダイレクト過ぎて苦手。
あと後半のOPは作詞作曲編曲歌い手は4人とも違うから、
曲に対して歌い手を選ぶなら、このMay'rnさんは私は好きじゃない声だった。
なんか自然でない、作りものっぽい発声と震える声で、
曲はいいのに馴染めなかった。
あと、シリアスなシーンで、
安定して急に挿入されるコメディタッチの描写は、
他のレビューとおなじく、私も、唐突でついて行けなかった。
「みやすさ、馴染みやすさ、気楽さ」のエッセンスが、
本作ならではの雰囲気を薄くしている。
大人向けでもなく、とはいえ子ども向けでもない。
でも、追求したテーマや描写や機微は良く、意欲作だと感じました。