遊微々 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
これは、少年と少女が出会う前の物語。少女と少女が出会い、違う物語。
瀬川はじめ氏原作のコミックスを2008年に映像化したもの。
監督を務めるのは後に『Fate/Zero』を手掛けたあおきえい氏。
8年くらい前に中途半端なとこまで見て止まっていたため、今回再視聴。
コミックス原作とは言っても、実際は本編の2年前を描いたオリジナルストーリー。
土宮神楽と諫山黄泉、二人の間に何があったのか。
何故超災害対策室所属のエージェントだった黄泉が修羅の道に走ったのか。
本編では十分に描かれていなかった全ての始まりの物語、その核心に大きく触れた内容が特徴です。
原作を読んでいなくても楽しめる内容ではありますが、原作を読んでいた方が感動はより強いです。
特に前半パートでは二人の仲睦まじい様子が描かれ、本当の姉妹のように戯れる姿が、後の展開を知っているだけに余計に心に刺さります。
今作を見て改めて思ったことですが、本編主人公の弐村剣輔はやっぱり偉大。
そりゃこれだけの悲しみを背負った神楽のためにあそこまで体張って一緒に窮地乗り越えてくれれば、吊り橋効果も相まってそりゃあ惚れるってもんですよ。
最終話見ながら「いやいやこっからでしょうよ!ここから剣ちゃんの活躍描いてこそこの作品はより輝くんでしょうよ!」と思っちゃいましたね。
ホント今作見た人はこれに満足せず本編見ていただきたいです。
OPの「Paradise Lost」は腐るほど聞いてますがやっぱりいいですね。茅原さんの楽曲の中でも一番好きかも。
原作の方は正直中盤以降ダレてしまうところもあるのですが、これ見た後だと思い入れ強くなってなんかより感慨深く見れますね。何だかんだ好きな作品です。
余談①
{netabare}本作のタイトルである『喰霊』。「がれい」って読むんですが、この「喰」という字は通常「が」とは読みません。
何か意味があってこの字を当て字にいているのか?
と考えられてる方、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、実はこれ単純に作者の瀬川先生が「喰」と「餓」の字を間違えていただけです。
後に担当編集の指摘で間違いに気づいたそうですが、その時にはもう連載会議が引けないところまで進んでいたためズルズルと引っ張って完結まで至ったそうです。{/netabare}
余談②
{netabare}有名な話なのでご存知の方も多いと思いますが、今作凄まじいプロモーション詐欺をかましたことで知られています。
第1話放送前までは、観世トオルをはじめとする『防衛省超自然災害対策本部特殊戦術隊第四課』にスポットを当てた作品ということで告知がされていました。この特戦四課に関しては原作には一切登場しない完全オリジナルの設定です。
しかし実際の本編では彼らは1話にして退場、後は前述の通り神楽と黄泉の二人を中心に話が進みます。
ですがこの情報の秘匿っぷりがすごかった。アニメ情報誌に事前に載せた告知は勿論のこと、アニメのキービジュアル、果ては公式サイトに至るまで特戦四課を全面に押し出した徹底したフェイクを用意。当時の視聴者はみんな騙されたそうですね。
とは言ってもこれは全部後から聞きかじった情報なので、原作読んでる自分としては
「え?防衛省?こいつら・・・誰?」
ってな感じでしたね。あとクリーチャーデザインが原作と違いすぎるので一瞬別作品見てる感覚に陥りましたよ。{/netabare}