鸐 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
面白かったのに、素直に面白いと言えない。
原題、Onward。意味、先へ。
監督はモンスターズユニバーシティの監督です。
あらすじと所感{netabare}
舞台は現代のアメリカっぽいですが、住んでいる人間が空想上の生き物という世界です。と言っても、種族としての得意能力は失っているので、物語序盤は外見が違うだけのただの人なのですが…。
ボードゲームが好きな兄と陽気な母との生活に息苦しさを感じている少年が主人公です。実はこの主人公、数学が得意で自動車教習が怖くてなかなか進まず、人付き合いが苦手な、ちょっと特殊な男の子なんですが、一番特殊なのは魔法が使えてしまったことでした。そんな訳で、一度きり、一日だけ人体をも蘇らせる魔法を使ったのですが、魔法が未熟だった為に、蘇えったのはお父さんの足だけでした。チャンスを無駄にせず上半身も蘇らせてお会ったことの無い父さんと会話したい。その思いで魔法に使う石を見つける旅に兄と出発しますが、時間だけがいたずらに過ぎていき、兄弟は険悪になってしまいます。
物語で何度も繰り返された、簡単な方ばかり選んでいてはいけないという意味合いの言葉がこの作品で視聴者に宛てたかったメッセージなのでしょう。{/netabare}
物語の中盤までは、へーなるほどねー、きっと伏線だなーくらいの気持ちで見ていたのですが、控えめではあるものの定期的にギャグやピンチになる描写が盛り込まれていたので、見ていて飽きることはありませんでした。
ところが、終盤に差し掛かると、楽しかった時間に思いを馳せたり、断腸の思いで目的を達成しようとする少年と兄の気持ちに同調してしまい、結構引きずる思いをする羽目になりました。
作者の意図にまんまと嵌められた気分でしてちょっと悔しいです。
声優は吹き替え版の視聴でしたが、タレントが多く、中にはあまり上手く無いかもという人がいました。
作画は欲を言えば、リメンバーミーの死者の町のような印象に残るような映像が見たかったのですが、それ以外は流石ディズニーというクオリティでアニメーションなど全く違和感もなく完璧な仕上がりになっていました。
音楽は日本版の主題歌を除けば完璧でした。
全力少年は視聴前は合っているように思っていましたけど、映画の中身とは完全に剥離していました。
全力少年で歌われているのは「過去の自分は全力だったよね」という回想であって、「必死になって進んだよ」という今を生きている本編の物語には全く即していません。
担当スタッフは中身を見ずに話題性だけで決めているのでしょうか。
折角素晴らしい物語のフィナーレなのに残念でした。