くろゆき* さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
バイクはバカにしか乗れん!そう、お前はバカだからバイクに乗る資格がある!
原作未読。
なんだけど、これって「バイクオタクの聞くに堪えない会話を楽しむために、可愛い女の子にしゃべらせます」って作品でしょ。
おそらく原作ではがっつり薀蓄を述べつつ、分かる人にしか分からない内輪ネタで笑いを取りに行くスタイルなのだろう。
そのネタが分からない人も見るであろうという前提なので(バイクのデザインのカッコ良い悪いか、全く分からんわ)、このアニメは全体的にふわっとしたセリフで構成されているのだが、そのせいで作品の根幹部分が完全に失われてしまっている。
女の子をバイクに乗せたいのであればこの原作を選ぶべきではないし、この原作を選んだのであればネタの分からん奴は切り捨てるくらいの姿勢で行くべきだった。
セリフ自体がふわっとしていてもその話し方でカバーできる部分はあると思うのだが、この作品のキャラクターはそれもできていなかった。
もじゃはもっとナルシスティックにポエムを語るべきだし、おっぱいはもっとファナティックにスズキを語るべきであろう。
この二人の、当事者以外には下らないだけのバイク語りが、セリフの内容でなくその語り口によってシリアスな笑いにまで転化できれば、「言ってる事は分からないけど面白い」になっただろう。
その「言ってる事は分からないけど面白い」という演技が成立して初めて、まゆ毛のアホ声が笑いに変わる。
せっかく主人公が頑張って声だけで笑える可能性のあるアホ声を演じているのに、前振りである脇役二人の演技がいまいちのため、アホ声が単なるアホで終わっている。
ただこれは、製作者の姿勢と原作者の姿勢の齟齬が招いたものなのではないだろうか。
この作品の題名は言うまでもなく「けいおん」のパロディです。
そして原作者は「けいおん」という作品へのリスペクトなど欠片も持ち合わせていないだろう。
しかしアニメの製作者は、アニメの「けいおん」(原作ではない)をリスペクトしている節がある。
この部分の決定的な齟齬が、この作品の表現に根本的なブレを生じさせてしまっているのではないだろうか。
何故そんな事が起こってしまったかは分からないが・・・