ゆるらりら さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
かわいそう。
事前情報でBLってのは知ってた。
腐女子だし、BLを求めてこの作品を見た。
一話、1人目の主人公の立夏が昼寝をしに普段人が居ない場所に2人目の主人公、真冬が居た。それで、いろいろあって弦がぼろぼろだった真冬のギターを直すことに。
そのせいで、立夏がギターを弾けるとバレてギターを教えろとせがまれてギターを教えることになる。
その後、ひょんなことから真冬が断片的に覚えている歌を鼻歌で聞いて、とても心が動かされたのが理由でボーカルとして立夏は真冬を自分と、あと二人でやっているバンド、The seasonsに誘う。
一言で言うならばあまりBL臭がしなかった。もっとがっつりしたものかと思っていたけど、バンドの四人を描いた話で、ギターのこととかを初心者にも分かりやすく説明してくれた。
真冬が音楽を全く知らないからこそ、説明に違和感がなく、なおかつ分かりやすかった。
物語が進むと、少しずつ真冬のことがわかってくる。
幼馴染がいた事、その幼馴染が恋人で、喧嘩がきっかけで自殺してしまったこと。立夏を、好きになったこと。
真冬が音楽を全く知らないのにギターを持っていた理由も明らかになる。
それと同時に、立夏の気持ちも少しずつ変化していく。小さなことで意識したり、好きな人が居た、と聞いた時に凄く嫉妬したり。人間を人間らしく描いている。
残り二人、春樹の秋彦への片思いも同時に描かれる。一目惚れで、丁度春樹が入っていたバンドが解散したのもあって、ドラマーの秋彦をバンドに誘う。そのあと、前から気になっていたギターの立夏の三人で、The seasonsを結成する。(春樹はベース)
合計二年間の片思い、という描写はぐっと来るものがあったし、ひとつひとつの行動に慌てたり、驚いたりしている様子は可愛かった。(あくまで腐女子の感想)
特に、秋彦とバーで飲んでいるときにバイクで来ていたのを忘れて、春樹の家に泊めてもらったとき、春樹が寝転がっていたベッドに春樹に覆い被さったとき、ちょっと期待したが、寝ただけだった、というシーンの「ベッタベタやないかーい」のセリフは面白かった。
秋彦のことも描かれて、初恋をしたこと、その雨月という男と同居していること。
この事実を知っていると春樹の恋が切なくて思える。
中盤あたりになって、春樹の友達が主催するライブに参加することになって、立夏が真冬の鼻歌をベースに曲を作り、作詞を真冬に任せる。
最初は自分には無理だと断ろうとするが、伝えたいことがあると言って、作詞を引き受ける。
どんどんライブの日は近づいていく。でも真冬の歌詞は出来上がらない。
そして、ライブ当日のリハーサルになっても真冬の歌詞はできていなかった。
そして本番。歌詞ができていないはずの曲の歌詞を真冬が歌う。自分の思いを歌に乗せて。
まだ、溶けきれずに残った日陰の雪みたいに。
このフレーズが、真冬のこれまでを表していて、とても感動した。真冬の声優さんである矢野奨吾さんの歌唱力も相まって、一生忘れられないシーンになったと思っている。
ライブシーンはCGだったが、まるで本物のライブを見ているかのような動きには感動した。
過去を乗り越え、好きだった人への愛を歌った曲は、とても儚くて、いい曲だった。
全体的に見て、音楽にも、恋愛にも真摯に向き合っている作品だった。
切なくて、儚い恋愛模様は続きが気になって仕方がなかったし、音楽に対しても真面目だった。
最終話で無事に立夏と真冬も結ばれる。
春樹と秋彦と雨月は分からないが、映画できっと解決するのだろう。
だが、ひとつ気になっていたことがある。
この作品は、とてもライトで、BL初心者でも見れるし、苦手な人も見れる作品だ。
恋の描き方は少女漫画のようだったし、ほとんど少女漫画のヒロインを男に変えただけだ。
なのに、男だというだけでホモだ、気持ち悪いなどという人が多くいる。
はっきり言って、そこら辺の少女漫画より切ないし儚い。同姓だから生まれる悩みなど、とても濃かった。
だから、そうやってBLだからって批判する人が理解できない。
作品の本質を見ずに、上辺だけを見て批判する。それってどうなのではないか。差別なのではないか?
本質を見られていない、その点がとてもかわいそうだった。