たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
兄弟愛を描くピクサー
かつて魔法と自然に包まれて暮らしていたエルフ含めたファンタジー世界。しかし、科学の発達によって魔法は徐々に使えなくなり、ゴミや公害やカロリー高めなスナッグ菓子を頬張りながら、コーラを飲む。。。まるでアメリカそのものになってしまった現代のファンタジーの住人であるエルフの兄弟が、亡くなった父親が残した魔法の杖を使って死んだ父親を蘇らせようと奮闘する冒険ファンタジー。
ディズニーの「ズートピア」と同じく、「現代のアメリカ社会」をファンタジーに置き換えているので、非常に風刺的で自虐的なのが面白いです。
ファンタジー世界で夢の国であるユニコーンが野良犬同然のゴミ漁りしていたり、ピクシー(妖精)がハーレーダビットソンを乗り回す暴走族になっていたりと、「夢の国」や「ファンタジー」とは到底思えぬアメリカ人の自虐っぷりが垣間見れます。
西洋の人たちも昔は自然豊かな森で暮らしていたことにより、寓話や神話が生まれて「ファンタジー」を築き上げていったという歴史が感じ取れるだけでなく、その末裔が資本主義を体現する現代のアメリカ人になったというのは皮肉にも捉えられると同時に、最後に残るのは「ファミリーの絆」だけでなく、いかに「自分らしく」その時代を生きるのか。。といった問いかけにもなっています。
なので、「ポリティカルコレクト」的な部分が非常に強く、多種多様なファンタジーの住人が出てくるだけでなく今回はレズビアンなどの「セクシャルマイノリティ」も出てきますので、最近のディズニーはかなり攻めた内容になっていますね。
世界や社会はいま、コロナウイルス状況下で変わりつつあることを敏感に捉えているピクサーのいや。。ディズニーの制作陣の侮れなさがあると思います。