イロハに さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
大文字のロマンに溺れるな、内なる心の声に従えよ。
内容むっずい。そしてテーマにしてる問題は深い。
社会や人生の閉塞感から抜け出す"可能性"とは何か?それは全体主義的なロマン(イマジネータ)に染まるのではなく、己の真の欲望(黄金)を悟る事であると思った。
別方向から語ると、"何者か"から与えられた支配する〈空気〉、それに伴う幻想より、日常を伝統的な生活の型(例えば弓道の型)と心の本音で生きること。そこに生きる事の美しさがあるんだよ。最後に流れるワーグナーのマイスタージンガーの意味はそう感じとれました。
ナチズムやマルクス主義、極右などのイデオロギー、そしてオウム真理教などの新興宗教。(いまならSDGsや多様性?笑)これらが提示する理想では社会や人生の閉塞感は抜け出せない。なぜなら〈理想を支える価値観〉は新たなプレッシャーとなる〈空気〉を生み出すから。逆に閉塞感の原因となる〈空気〉を脇に置いて、〈社会〉からハミ出す事を恐れてしまったが為に心の奥底にしまい込んだ願望(個々の輝ける想い)をすくい出し、自覚する事で心のモヤモヤに苦しめられる神経症的な症状から脱する。それこそが社会と実存の閉塞感から脱する"一つの可能性"なのだと。私には思えました。
(因みに"輝ける想い"の発想を突き詰めると場合によっては自爆テロや暴力がokな社会になっちゃう気もするんですがね..映画版ジョーカーのコメンテーターを射殺するシーンとその後のバットマン誕生みたいな、その妄想じみた皮肉が最後ジョーカーの 笑い の意味だと思いますけど。。。どうでしょう?)
多分歪曲王において作者はフロイトとラカン精神分析からインスピレーションを受けてるを思う。 なので私はフロイトやラカンの大学のディスクールと分析家のディスクールの議論を念頭において鑑賞しました。