たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「女性の視点」が入っていることが鍵
16年という長きに渡るシリーズ化で着々とファンを拡大し、アダルトゲームといういかにもオタク的なコンテンツから、現在はTVシリーズ化、映画化、ソシャゲ化という流れの中で「魔法少女まどかマギカ」に次ぐ、「ポストエヴァンゲリオン」的な作品へと変貌した「Fate」の最新作にして最終作となります。
コロナウイルスの影響で4ヶ月間の延期期間が存在するものの、作品自体のクオリティーを上げるにはちょうど良い期間ではなかったのかと思います。
本作は男女共に支持され大ヒットを記録していると聞いて、以前にも話しましたが、もはやアニメや漫画は「女性客」を入れないと採算が取れないと言われている昨今。本作は非常に女性に対して訴求するシーンが多く有り、「美少女戦士セーラームーン」や「少女革命ウテナ」的なセンスも垣間見れる作品だったので、非常に観客に「女性」が多かったことも特徴的だと思います。
元々は男性向けのアダルトゲーム原作の「一介のヒロイン」としての立場でしかなかった遠坂凛や間宮桜の心の掘り下げの仕方が「少女漫画」的であり、ラストシーンも非常に「女性視点」で描かれているため、いつもの「Fate」シリーズとはちょっと見方が違ってくる作品でした。特に美少女達の戦闘シーンは明らかに「セーラームーン」や「ウテナ」的なセンスを入れていて、美少女が非常に見栄の張った「格好良さ」が際立っていました。所々に「歌舞く」シーンがまるで踊っているように見えるので、「セーラームーン」や「ウテナ」的なシーンだと思います。
最近の少年誌の読者層の半分は「女性客」だといいます。
なので、「鬼滅の刃」をヒットさせたユーフォーテーブルだけに「女性」層もターゲットに入れていることでしょう。そして本作は見事にその課題をクリアしている気がしました。
そして、描かれる視点が序盤の主人公の衛宮士郎から、本作でのヒロインの間宮桜に移動したことが最大の注目点だと思います。なので一応主人公の最終決戦があるのですが、ポイントはそこに置かれていなく「その後の2人がどうなったのか?」というアフターエピローグに意識を集中していることに、ただの男性的な作品ではなく、男女に受けるポイントとして仕掛けているのだと思います。
作画も男性的なエロチックなシーンは最小限に抑えて(一応サービスカットはあることはある)、キャラクターの掘り下げに全力を注いだことが今回の大ヒットに繋がったのだと確信しました。
しかし。。。。
苦言を呈せば、まだ「ポストエヴァンゲリオン」的な作品でしかなく、庵野秀明はもちろんのこと宮崎駿や押井守、新海誠、湯浅政明のような監督の作家性というのは感じなかったので、秀作ですが期待以上のモノは見れなかったことが残念に感じました。