STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
テイスト自体は好みだったりするけど
第2クール視聴済みですが、未視聴の体で書いてます。
事前の期待度は結構高かった作品で、その理由は製作会社のP.A.WORKSが結構好きであること、
シリーズ構成と脚本を務めた十文字 青氏の小説が原作のアニメ作品「灰と幻想のグリムガル」
(以後、グリムガルと表記)が割と好きな作品であったこと、可愛げのないw作画テイストの
近現代風ファンタジー(「幼女戦記」、「天鏡のアルデラミン」など)が好みだったりすることなど。
で、いざ蓋を開けてみると結構もやもやした印象のまま終わってしまった感がある。
まず作品の世界観やキャラの立ち位置などが非常に判りづらい。キャラの真意的なものは一種の
謎要素として次第に明らかになっていけばいいと思うんだけど、表面的なものはちゃんと
説明して欲しかった。この辺の不明瞭さがストーリーを追う集中力を結構削いでしまった感が
あった。
思えばグリムガルも世界観の説明などはそれほどていねいにされていなかったが、あの作品の
場合は主人公パーティーの日々の活動描写に絞られた作品であったので、世界観や周辺事情が
不明瞭でも問題なかったりする。
戦争映画などで一部隊の活動に焦点を絞ったような作品はその部隊が参加する作戦の戦略的
意味合いや戦争そのものの歴史的背景などは描かれてなくても問題なかったりするが、
グリムガルはそれに近い感じ。
しかし、本作は統一戦争後の統一ゼスキアの行末を描いたものなので、その歴史や統一ゼスキア、
並びに主要キャラの現在状況などはちゃんと説明しておくべきだったと思う。
もう一つもやもやしたのは主人公サイドであるドロテアの行動が後手後手であったことで、
主人公達が活躍することによって得られるカタルシスのようなものがほとんど無かった。
クライマックスで主人公サイドが最大の危機を迎えるために敵の目的がうまいこと遂行されて
いく展開自体はフィクション作品における常套手段ではあり、危機感で話を引っ張る演出などは
昔はよく使用されていた感があるが、最近は途中途中もカタルシスが得られるような演出に
なっているフィクション作品が主流のように思える。例えば敵の目的は果たされるが、遂行者は
主人公にやられてしまうとか。
視聴者に鬱憤を溜めさせて、クライマックスで一気にカタルシスを与えるやり方は、今まで
溜めた鬱憤に見合った分のカタルシスが必要なわけで本作の作風では難しそうな気がするけど。
妖精を使用したバトルは作画などがカッコよく、妖精自体も「妖精」という言葉の印象とは
裏腹なグロテスクな造形が割と好み。
本作における妖精兵と妖精の印象は、「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンド使いとスタンドを
思わせるものあり、スタンド同様に本作の妖精も個々の能力差があるが、こちらも個々の能力の
説明が欲しかったところだし、妖精バトルも能力差を活かしたものだともっと
面白くなったんじゃないかと思えた。妖精そのものの説明は結構ちゃんとやってくれたんだけど。
あと戦闘そのものが決着が付かないことが多く、この辺は話を引っ張るためだろうが、昭和の
プロレスに多く見られた不透明決着を思い出してしまった。この辺ももやもや要素の一つ。
戦闘シーンは(K)NoW_NAMEの音楽が流れる。
曲そのものは結構カッコ良かったが、曲が強すぎて、絵を食ってる感があり、なんか曲のPVを
観ているような感じ。曲がインストではなく、歌ものだったので、よりそういう印象が
強まったみたいな。
登場キャラもあまり魅力が感じられなかったが、作品そのもののファンタジーファンタジー
しておらず、非現実要素は一部に絞り(本作では妖精)、後は現実的要素で展開していく歴史劇的
テイストはやはり好みだったりはする。
2018/08/13