101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
肯定感の薄い世界を科学少年が強力弁護
人類総石化!約3700年後、石化が解けた少年・千空らが、
科学の力で、滅び去った文明を取り戻すべく奮闘する。
同名クラフトアドベンチャー漫画(未読)のアニメ化作品。
【物語 4.5点】
振り返りの多さ、絶好機を見逃してくれる優しい敵さん……。
など悪い意味でのジャンプ原作アニメの伝統も垣間見えるが、
それを乗り越えるだけの伏線芸で魅せてくれる。
{netabare}宇宙飛行士、日本だった村に何故かいた金髪少女、墓石……。{/netabare}
全部、ハイレベルなステルス伏線でした。お見事です。
科学の力で次はアレを作る!
と完成まで数話かかりそうな化学工程表を見せられた時は、
このアニメもつのか?と心配になりましたがw
複雑な工程表のどの段階で、どうエピソードを絡めてシナリオに“化学反応”を起こすか、
本作は綿密に作戦が練られており、
いつの間にか、物語を振り返りながら、
進捗した工程表をニヤニヤ眺めている私がいました。
プロット工程表とかもあったら是非、見せてもらいたいです。
【作画 3.5点】
抜くところは抜く標準的な安定度。
背景は、時折、人類がいなくなった世界の美しさを見せ付けて来る。
登場人物の顔面作画が濃い+石化の影響で一部がヒビ割れ。
という中々、強烈なキャラクターデザインだが
石像が転がる異様な原始世界の背景にはマッチしている。
(それにしても何故、千空は頭にネギを栽培してるような髪型なのでしょうw
観る前は、石化の影響?と思っていましたが、石化前からあのスタイルですし。
これも伏線なのでしょうか?)
勝負所ではアクション作画も奮起。
ですが、私の脳裏には、それ以上に、
{netabare}顔芸を爆発させながら回した人力発電w{/netabare}など、
地道な科学の道程と成果を表現した映像が浮かんで来ます。
作画構成も作品を掴んでいるのでしょうね。
{netabare}“ぼやぼや病”を矯正した視野に広がったヒマワリ{/netabare}の美しさ。
同じ“病”の人間としても、文明のありがたさを再認識でき、感動しました。
中盤以降、散発した“飯テロ”作画も、地味に“科学王国”の正当性に寄与。
【キャラ 4.5点】
上記“工程表”に巧妙に配置された各々のキャラクターが、
要所でシナリオ良化に貢献する上質なキャラ構成。
主人公・千空の「唆(そそ)るぜ、これは!」「100億パーセント」など、
口癖、口調によるキャラ付けも良好で、キャラが混ざり合った際も明快な反応で魅せてくれる。
この辺り、本作は「すごくちゃんとしてる」
千空の親父さん、凄腕の職人・カセキなど、
ちゃんとした大人が魅せてくれるのもポイント高し。
腐敗と毒親だけが大人社会じゃありません。
カセキが{netabare}少年たちに年齢を超えて友達と認められた{/netabare}件、
二次元世界にまで蔓延した世代間対立が浄化されるようで、
不覚にも貰い泣きしそうになりました。
【声優 4.0点】
千空役の小林 裕介さん。
視聴者にすら先が見えない科学工程を遂行できたのは、
解説する千空の声色に相応の魅力(中毒性)と説得力があってこそ。
同様にメンタリスト・浅霧幻役の河西 健吾さんの倒語ボイスにも“ゴイスー”説得力?
……いや、こちらはどちらかと言うと“ドイヒー”中毒性ありかw
いずれにせよ、普通の声で幻の言動をとったら、とっくに粛清されてると思いますw
【音楽 4.5点】
劇伴担当は加藤 達也氏、堤 博明氏、YUKI KANESAKA氏の三者共同。
笛とパイプも交えた民族音楽風のアレンジに、ラップ歌唱も散りばめることで、
大自然に科学の力で文明復活に挑む作品の主題をアシスト。
お気に入りは加藤氏の「STORN WORLD」。壮大なメロディーが心地良いテーマ曲。
あとは、堤氏の「I`m A Human」。ラップと終盤のリズム加速で“ケミカルクッキング”に
怒濤の追い込みをかける逸品。
主題歌OP&EDは前後期とも男性ボーカルで固める。
特にBURNOUT SYNDROMESの前期OP「Good Morning World!」の
“おはよう世界 Good Morning World!”のフレーズが先制攻撃力抜群で、
アラームにも最適?です。
ワインバーグさんの挿入歌もステキでした♪
美しい歌声が何時でも再生できる世界。取り戻さねばなりません。
【感想】
世界の罪を糾弾し文明滅亡級の悪事を正当化する敵の野望を、
少年少女が理屈を越えた正義と熱血で粉砕。
あとに残された一理あった敵への同情などのモヤモヤ感……。
こんな“疑惑の裁判”を二次元作品でも数多く目撃させられて来た私……。
けれど、もしかしたら、千空なら、
失われたからこそ、価値が分る文明の利器という環境も味方に付けて、
科学の力で、説得力のある世界の肯定を、やってくれるかもしれない。
そんな手応えも感じた第1期でした。
文明を復活させたい科学王国と、
腐敗した科学文明と老人共を排除し若者だけの新世界を目論む敵勢力。
双方の主張も激突すると思われる“STONE WARS"も本格化するという第2期。
来年初頭予定の放送を心待ちにしています♪