キャポックちゃん さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
精神と肉体の食い違いがもたらす悩み
【総合評価】☆☆☆
思春期には、多くの少年・少女が精神と肉体の食い違いに悩み、現実とは異なる自分への変身を空想する。ただし、こうした空想をそのまま映像化すると、自虐的で品のない作品に堕す危険性がある。本作は、同種のアニメの中では、(『ココロコネクト』『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』などよりも)好意的に評価できる佳作である。
両親と死別した小学生の五百川カラダは、従兄弟の尋に養ってもらうことに負い目を感じており、早く自立することが願い。一方、尋の恋人で変な別れ方をした野上椒子は、過去を精算し別の人生を送れたら…と思っている。この二人が、祠に納められた願い石にそれぞれの思いを伝えたところ、カラダは大人に、椒子は子供に変身してしまう。二人がこの異常事態にどう対処するかが、基本ストーリーとなる。
このアニメの長所は、やろうと思えばいくらでもできるコミカルな展開やエロチックな描写が抑制され、二人の女性が共に本気で思い悩むところ。大人になれば自立できると信じていたカラダが、社会的には無能者であることを思い知らされる場面は、切々と胸に迫る。
派手な描写がなく人気は乏しいものの、隠れた名作と言ってよい。