「アルテ(TVアニメ動画)」

総合得点
72.1
感想・評価
274
棚に入れた
917
ランキング
1207
★★★★☆ 3.5 (274)
物語
3.5
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

女性が社会で活躍するためには…

【総合評価】☆☆
 16世紀初頭のフィレンツェを舞台に、当時はほぼ皆無だった「女性の画家」であるアルテの頑張りを描くアニメ。ただし、その描き方は類型的で、女性が社会で活躍するためには何をすべきかという点に目を向けることはない。
 当時の画家は今で謂うインテリア・デザイナーであり、教会や王侯貴族の邸宅の内装を手がけていた。漆喰塗りや扉・手すりの制作なども行うため、多くの肉体労働者から構成されるチームとして活動する必要があった。工房が男性ばかりだったのはそのせいであり、必ずしも女性差別という訳ではない。女性が画家として自立するには、女性的な感性を生かした絵画が一個の芸術作品として認められる必要がある。
 ところが、アルテは自分の置かれた立場を深く考えず、仕事にありつくためには男並みの馬鹿力を発揮するばかり。アニメ『二十面相の娘』で、重い荷物を運ぶように命じられた(運べずに盗賊団への加入を諦めると思われた)チコが、横倒しにしたビール瓶を並べてコロ代わりに使ったのと比べると、あまりに能がなさ過ぎる。
 手を描いたアルテの落書きが、別してたおやかで優しいことを示しながら、それをきっかけに話を拡げようとはせず、すぐに別の物語を始めてしまう。実在の名画をいくつも画面に登場させたにもかかわらず、そこに込められた新しい工夫(例えば、マリアを崇拝すべき聖母ではなく愛らしい少女として描いたコレッジオ作品のような)を使って、アルテの進むべき道を暗示することもしない。
 女性芸術家の先駆者として知られる12世紀のヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、知的な戦略によって女子修道院の改革を進め、そこで多くの絵画・音楽・戯曲を制作した。女性が活躍するには、こうした戦略性が必要なのである。その点に目を向けなければ、単なる頑張り屋の話にしかならない。

投稿 : 2020/08/09
閲覧 : 265
サンキュー:

7

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