キャポックちゃん さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
ねっとりじっとり陰々滅々
【総合評価】☆☆☆
ねっとりじっとり陰々滅々---そんな男女の姿をこれでもかと見せつける作品だが、私は嫌いではない。
主人公は、優柔不断で頼りなく、全く魅力を感じさせない男性。なのに、何人もの女性からいっせいに好意を持たれる。この不自然な展開は、原作が18禁アダルトゲームで、由綺という本命がいながら、別の女性に言い寄られてなびく男の話だから。多くのユーザの嗜好に応えるべく、さまざまなタイプの女性を攻略する分岐ルートを用意した恋愛シミュレーションである(らしい、私は未プレイ)。
ところが、アニメ化するに当たって、こうした個別のルートを一つのストーリーラインに無理にまとめ、多くの女性と同時並行的に恋愛関係になる流れにした。その結果、恋愛のワクワク感はどこへやら、恋することの不自由さ、他者も自分も思い通りにならないもどかしさが前面に押し出され、「ハーレムは(本当に)つらいよ」的なアニメとなった。そこが逆に面白い。
舞台となるのは、ファッションも音楽も昭和の雰囲気が濃厚に漂う芸能界。携帯電話がなく、公衆電話から連絡を取り合うが、何度もすれ違いが繰り返される。芸能事務所に使い潰されるアイドルや、人権を平然と無視する芸能レポーターの存在が、何とも昭和的。かつて天才と騒がれながら、才能を蕩尽し自壊していく緒方英二の姿に、某有名ミュージシャンの影が重なって見える。
イラスト風のショットや内的独白を表す文字を挿入するテクニックも、なかなかのもの。次回予告の線画も興味深い(これらは、作画の評価に加点した)。
水樹奈々が歌うOP曲『深愛』は、いかにも昭和歌謡っぽい作品で、エロゲー由来の曲が紅白で歌われるという快挙を成し遂げた。