take_0(ゼロ) さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
今の世の中では言いづらい【本質】
「ゴブリンスレイヤー」。
「ドラゴンスレイヤー」ではない。
ちょっとファンタジーやRPGゲームをかじったことのあるものであれば、ドラゴンスレイヤーというワードは聞いたことがあるはずだ。
武器の名前になっていたり、ドラゴンを倒した英雄の称号になっていたりする。
で、ゴブリンスレイヤー。
ゴブリンを倒すもの、狩るものと言ったニュアンスか。
これも、聞いたことのある人であれば、わかるように、その世界では一般的にザコ扱いされている生物だ。
だが、この作品の世界では、
それなりの脅威として描かれている、有力な冒険者からはやはりザコ扱いされてはいるようだが、一般の人間、未熟な冒険者にとっては、大きな脅威、そして危険な存在だ。
そのゴブリンを専門に狩る男「ゴブリンスレイヤー」が主人公である。
そして主人公は、決して、いわゆるヒーロー、勇者ではない。
全体的な作品の雰囲気としては、
私的には十分許容できる範囲ではあるのだけれども、今のご時世では、結構キビシイ描写が所々ある。
ここをクリアできないと、なかなかに作品自体を楽しめないかもしれない。
ここは、少し注意が必要かもしれない。
ただ、私的には、物語全体のベースとして、主人公、その他のキャラクターのバックグラウンドとして必要な表現であったと思う。
【私見】
実際、こういう表現があるだけで、脊髄反射で文句を言ってくる輩も世の中にいることは知っているが、私は、そういう「バカ」にはなりたくないと思っているクチなので・・・。
実際、見えてはいないだけで、世の中にはもっとろくでもない現実がある訳で・・・、毎日毎日、ニュースではどっかで人が〇されたとか、誰かが誰かをケガさせたとか、どっかの国では・・・とか、ろくでもない話がある訳で、そっちの方がよっぽど・・・、おや、誰か来たようだ・・・。
作画も、キャラクターの表現もしっかりとしていて、私的には好みでした。
あと、物語自体も、
一本筋がとおっていて、主人公は、ひたすらゴブリンを狩るために行動する。
タガが外れている、という言い方もあるが、主人公には心に傷を負った明確な理由があり、それが原動力となっている。
その中で、主人公は仲間を得、主人公自体も、自身を見つめなおしていく(成長していくと言い換えてもいいかもしれない)。
最終的には自分の「成りたかったもの」にまで気づく(言及する)ことになる。
最終盤に、多くの仲間が手を貸してくれたのは、武骨ではあるが、実直な行動が信頼を積み重ねてきた成果だと私は思った。
こういう浪花節的展開も私は大好物なので、大変良かった。
あと、この物語の中では「ゴブリン」は完全悪として描かれている。
これについては、作品の世界観を含めて、そういう事だと理解するしかないと思っている。
事実、情けをかけて、ひどい目にあったという描写も数度あったはずだ。
世の中には、言ってはいけない、決めつけてはいけないという風潮はあるが、私は「絶対にそういう「者」」もいると信じている、望ましい事ではないが。
話は変わるが、松本零士の世界観の中で言われる、
「撃たれる前に撃て。相手が涙を流しても必要な時は心を鬼にして容赦なく撃て」
これは、ある意味「真理」だと、私は今でも信じている。
今の世の中で、これを実践する機会は、ほぼ無いのは承知の上だが、
「事に臨んでは~」自分、そして自分の大切な人を守るためには忘れてはならないことだと。
相手に情けをかけて、反撃で、自分の大切な人を失ったら・・・、ありえんやろ。
そういう意味で、主人公のゴブリンに対する処置は理解せざるを得ない。
もちろん、この作品の世界観の中では、だ。
でも、今の世の中だったら
「話せばわかる」
「やり過ぎだ」
「ゴブリンにも人権が・・・・」
ってバカがわんさと湧いてくるんだろうな・・・。
ちょっと、硬派な作品に当てられて、いらないことをいっぱい書いてしまった。
だが、後悔はしていないw
ものすごく、
硬派で、残酷で、救いがないシーンもたくさんあり、
そして、とっても魅力的な、タフで力強い作品です。
きっと、観る人、気に入る人を選びますが、観てみて下さい。