「イヴの時間 劇場版(アニメ映画)」

総合得点
78.3
感想・評価
1417
棚に入れた
7632
ランキング
564
★★★★☆ 3.9 (1417)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

★5/幻想のグラデュエーション

大傑作。アンドロイドSFの最終進化型。

-あらすじ-
人間と見分けがつかないアンドロイド達が識別のため頭上にリングの表示を義務付けられている世界。「ロボットと人を区別しません」というルールで運営している喫茶店「イブの時間」、そこでは入店と同時にリングは消失。店内では両者の区別はつかず、また話題にする事もルール違反。

家事を粛々とこなすだけの存在"ハウスロイド"サミィの不審な行動ログから「イブの時間」へ辿り着いたリクオとマサキ。老若男女バラバラな常連客による様々な人間(?)模様。サミィは何故こんな場所に?ついに遭遇したリクオとサミィは…。




アンドロイドはリングを表示。
店内ではリングが消える。

これだけで普通の喫茶店が異世界になる。
凄い。
凄いとしか言えない。
語彙力を呪う程に凄すぎる。 

CGならではのカメラワークも楽しい。
3原則や図解などSF演出もかなり親切設計。

よくもまあこんなベタで古典的なモチーフをこのレベルに仕上げられるものだ。脱帽する。

監督原作脚本絵コンテ他吉浦康裕。
サカサマのパテマのひと。

パテマもそうだが強力なアイデアを柱とする作風。これらの作品が他のワンアイデア作品と一線を画しているのは斬新なギミックをフックにして主題を語る構造ではないところ。ギミックそのものが強力な事は言う迄も無く、斬新な演出になると同時に主題のメッセージ本体にもなっている点。あまりに凄過ぎて他の表現が思いつかないのでもう凄い凄いを連呼するしかない。しかもギミック自体は驚くほどに単純でシンプル。パテマといいコレといい、思いついたところで作品として成立させるだけでも難しい。しかもこの完成度。恐ろしい。驚愕するしかない。

SF特有のドヤ感もなく気楽に見れるSFの最終型。



サカサマのパテマを見た後でコレを見た感想。
パテマと両方を見てから読んでみてください。
ただの自分語りです。作品の評価とは無関係です。

「イブの時間」を経て「サカサマのパテマ」へ
{netabare}
パテマは今の時代に沿った内容の作品。
この作品は残念だがテーマそのものがもう古い。

私がアニメを一生懸命見てた若かりし頃。
ロボットやSFなどの別世界に想いを馳せた時代。
まだ国民総中流が信じられていた時代。
皆の普通や常識や一般的な世界を信じてた時代。


みんなちがってみんないい
ダイバーシティ
LGBT
様々な価値観が主張される現代。

遠く離れていると思っていた断絶世界の住人は
"我々と同じ形をした何か"ではもうなくなった。

目を背けてきた断絶世界は今目の前に姿を表した。
そこの住人は同じ形をした同じ人間。
ただ、立場が違うだけ。

わざわざアニメや漫画や小説などを見なくても
断絶された世界などすぐ目の前にあるのだ。

イブの時間、こういうSF物語って大好きだった。
でももうこんなおとぎ話なんて考えなくていい。
アンドロイドと人間の関係性やら
脳内の情報だけで人格がどうのこうのやら
人間としての最小単位はなんやらかんやら
電脳なんてのもヨタ話もいいとこだ。

現実を見よう。

「イブの時間」
「サカサマのパテマ」
この2つの作品を見てそう言われた気がした。
逆説的だが最高峰の傑作アニメ映画を見て。
ネチネチと考証するようなSFなんて時代遅れ
今の時代には則してない必要ない、と。

自分はSF好きだと信じ込んでいただけだった。
私はSFヲタクでは無かったようだ。
寂しい気もするのだがまた自分を知る事が出来た。
もう感謝しかない。
{/netabare}

投稿 : 2020/07/30
閲覧 : 353

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