take_0(ゼロ) さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ちょっと再視聴してみた
久しぶりに再視聴してみた。
初見で一気見したときは、少々思うところがあって評価の書き込みをしなかった。
作画は恐ろしいレベルで、
安易に「感動した」とか「泣けた」とは言いたくないが物語も素晴らしい。
ヴァイオレットも美しく、そして愛らしい。
音楽もOP/ED含めて素晴らしく、物語との連結の仕方も素晴らしかった。
現状、そのほかのアニメ作品と比較して、次元の違う飛びぬけた力を持った作品だと思う。
そしてこれは2020年の現在をもってしても、変わっていないのではないだろうか。
(あえて言えば、宝石の国の様にある部門に特化したという意味では比類するものもあるとは思うが・・・)
にも拘わらず「思うところ」の為に評価を書き込めなかったのだ。
この思うところについては後述するとして。
作品の詳細・内容については、多くの人が紹介され、多くのところで語られているので特に記載はしないことにします。
なので、簡単に所感を。
どのエピソードも心に残るもので、作品全体が素晴らしい点については言うまでもないのですが、多くの人は第10話の母と娘のエピソードに心打たれたと言っておられますね。
もちろん私も、そうでした。
でも、実は私の一番好きな話数は第9話です。
色々な意味で、観ているこちら側の心にも「痛み」を感じるエピソード回なのですが、ヴァイオレットが1話~9話までにやってきたことについて、良くも悪くも結果が集結し、そして、ヴァイオレットが新たな一歩を踏み出し始める・・・。
関係した人々の後日談も短いですが、垣間見える。
ある意味、ここで物語が終わっても必要最低限の形にはなっているぐらいのエピソードです。
何より、前に向かって歩き始める描写が嬉しかったですね。
さて、
ここで、私が初見の時に感じた「思うところ」というのは、
この前に進むという描写に関係あると言えばあるのですが、この物語のベース、主人公ヴァイオレットのベースには闇(傷と言った方がいいかな)が消えずに付きまとっているのです。
作品中でも、もちろん描写され、そこを忘れずに、消さずに前に一歩進んで行く事が強調されています。
要は自分の罪や傷を抱えたまま、それでも前に進んでいくという事です。
これはヴァイオレットの「私は生きていていいのでしょうか・・・」という言葉に象徴されています。
もちろん、人間は、良くも悪くも前に進んでいくしかないのですが・・・。
オジサンになった私は、このバックボーンふまえた上で、やれ「感動した」とか「泣ける」とか「ヴァイオレット未来にむかって頑張れ」てな感情には安易になれなかったんですね~。
だって、やっぱり被害者というか、色々な意味でヤられた人たちもいるわけですし・・・。
無理やり現実とリンクさせる必要もないのですが、やっぱりオジサンになったんですかねぇ。
ちょっと考えちゃいました。
この作品をすべてとおしてみれば、ヴァイオレットが消すことが出来ない、消してはいけない傷を負っていることがわかります。
これは、舞台設定もあるでしょうが、多かれ少なかれ登場人物は抱えているようです(社長やカトレアさんについても、そういう描写があったと思います)。
虚心坦懐にこの作品と向き合い視聴すれば、我々視聴者もその傷を知ることになります、普通なら見えないシーンを見ることになります。
これはなかなかに「心がイタイ」事ではないでしょうか。
そして、これは同時に自分にも言えるなぁ、って。
さすがに命まで取ったことは無いですが、長い間生きてこれば、多少なりとも人を傷つけたこと(メンタルな意味です、犯罪的な暴力的な意味では無いです。子供のケンカぐらいだったらあるケド)だってあるかもしれないし自分も傷ついたことがある・・・。
誰だって、ヤケドの一つや二つあります。
でも、生きていかなければならないし、現に生きている。
さて「私は生きていてもいいのでしょうか・・・」
う~ん・・・ちょっとヘビーになりすぎたか・・・。
今まで、いくつもアニメ作品を観てきましたが、
やはり優れた作品は色々な要素を含み、感動、楽しみ、喜び、面白さと共にに様々な問題を語りかけ、
時には答えの出しにくい問い、正解のない問いを投げかけてくるのものだなぁ、としみじみと思います。
困ったな・・・、もうちょっと書いておきたいことがあった気がするけど、
色々な思いが巡って、考えがまとまらないや。
主人公ヴァイオレットの美しさ、凛とした立ち姿、そして時折見せる小さな女の子のような眼差しは、ちょっと類を見ないレベルだと思います。
だからこそ、胸が苦しく、痛くなる。
どうぞ、一度、ご覧になってみて下さい。