oxPGx85958 さんの感想・評価
2.5
物語 : 1.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
薄味なハイ・ファンタジー
真っ向勝負のハイ・ファンタジーなんだけど、世界の造形もキャラクターの造形も全体的に薄味に感じました。配置されているさまざまな要素に、相互の関連も奥行きもないように思える。一つの大きな世界を構成しているように感じられない。
典型的な例は{netabare}空中海賊のエピソード。この世界に空中海賊がいて、あのような形で他の飛行船を襲っているのなら、主人公たちがあんな緩い感じで対応しているのはおかしい。{/netabare}この世界に実在する人々というよりも、主人公のキャラクターを説明するための道具であるように見えてしまいます。
とはいっても、本作ではキャラクターの造形に力が入っている感じもしない。類型的なキャラクターばかりと言ってもいいかもしれない。脇役のキャラクター数人に焦点が当たるエピソードも用意されていますが、そこで起こる事件とそれがキャラクターに与える影響も類型的で薄味なんですよね。特に{netabare}龍によって破壊される町での、娼館の少女のエピソードは、捻りも深みもないまま終わってしまってびっくりしました。{/netabare}
ただ考えてみると、このハイ・ファンタジーの世界を所与のものとして受け入れるならば、その中で類型的な人物に類型的な事件が起こっても不思議ではないわけです。あえて類型的で平凡なエピソードを語ることによって、逆に、この世界の実在性を匂わせる、というのもアリかもしれない。捕獲した龍を解体して売るというプロセスを、地味な日常的営為として描くという姿勢の延長線上にあることなのかもしれない。それがアニメとして面白いかどうかは別問題ですが。