101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
3シーズン全59話を2時間強で駆け抜ける超強行軍な劇場版総集編
【物語 3.5点】
光陰矢の如し。
6年に亘る巨人との戦いを一挙に振り返るのに寄り道など不要。
リヴァイ兵長の大掃除も、ライナーの結婚願望も構っている暇など無いw
尚、『~Final Season』に向けた新規映像とかも特にないです。
ナレーションを延々と聞かされる苦行が続くかと思いきや、説明すらも最低限。
本作戦の経緯?狙い?兵団員なら事前に把握しておくのが当たり前だろうw
結果、クライマックス映像の連発に魅せられる、
ファンならば意外に楽しめる一本に。
再編集版を見る意義は、場面&セリフ選択を通じて、
スタッフたちが何処を重視して制作して来たか確認できること。
本作でも、世界は残酷。それに抗う個人の願望と意志の強さと狂気。
といった要点を改めておさらいすることができる。
本作で私が意識させられたのは若さについて。
特に窮屈な尺の中で繰り返し強調されたケニーの
{netabare}「みんな何かに酔っ払ってねぇと やってらんなかったんだな…」{/netabare}
との一言。
夢追う人間は時に不幸を招くかもしれないが、
だからと言って、夢に酔って来たと自虐したり、
夢が呪いになっているので楽にしてやろうと憐れまれたりしたら、
いよいよ世代交代、お迎えの時間ですよ。
最後の最後で精神的な若さが明暗を分ける。
そんな印象を抱いた再構成でした。
【作画 3.5点】
劇場版総集編の醍醐味は大スクリーンであのシーンを体感できる所!
……と行きたいところですが、シーズン1&2については既に劇場版総集編がありましてw
ハイペースな本作の見所は、
初期のシーンの因縁を、シーズン3でリベンジするカタルシスを一本で堪能できる点。
{netabare}冒頭、巨人の攻撃で陥落したシガンシナ区に、
終盤、「ウォール・マリア最終奪還作戦」で戻って来た時は、
分っていてもグッと来ます。{/netabare}
長期シリーズとなっている本作ですが、
勝負所では立体機動アクションも含めて、
一貫して良作画を揃えて来たWIT STUDIOの実力も再確認できます。
(次作から制作変更になったMAPPAへのプレッシャーとも言えるw)
【キャラ 3.5点】
編集に伴い、サブの大人たちにも非情な選抜が……。
上述のケニーが{netabare}アッカーマンの血筋{/netabare}もあってか、重宝される一方で、
グリシャと接点(私怨)があったキース教官らは落選……。
改めて面目躍如だったのは飲んだくれのハンネス。
{netabare}エレン巨人による、実母を喰った因縁の異母ダイナ巨人との接触による“座標”獲得
のついでもあったとは言え?
最初、一度は遁走した巨人相手に、後半では立ち向かって男を見せる
一作品内で対比するとシビれます。{/netabare}
【声優 3.5点】
再編集版につき、新録、再録等はなし。
主人公・エレン役の梶 裕貴さん。
ある時は、巨人への復讐心を燃やし駆逐してやる!と叫び、
また、ある時は、自分の選択の結果、犠牲が出た……と自己嫌悪に陥っては叫び……。
こうして感情が振り切れたボイスを凝縮すると相当世話の焼ける主人公ですw
そんなエレンも最後は、
{netabare}海を前に「向こうにいる敵…全部殺せばオレ達 自由になれるのか?」{/netabare}
と述べ、願望を活力源にした個々人が、勢いに任せて運命を突破するだけでは解決しない、
難題を意識する一皮剥けた一面を示してくれました。
彼の葛藤の日々が糧になり、報われることを祈ります。
【音楽 3.5点】
劇伴は澤野 弘之氏が過去にシリーズ通じて提供して来たBGM&ボーカル曲の総動員。
見せ場シーンでは、音響がTVアニメ版や過去の劇場版総集編から
楽曲をシャッフルして起用することで新鮮味を与えようとはしている。
ED主題歌はなし。
澤野氏の劇伴メドレーと共に、3シリーズ&本作のスタッフ名が、
テロップが滲む勢いで大挙“進撃”してくるエンドロールは圧巻w
(被りもあるとは言え、これ調査兵団の全兵力(300くらい?)を軽く凌駕してますw)
【感想】
こんな無茶な企画、果たして作品の体を成すのか?との懸念も抱いた劇場鑑賞でしたが、
思っていたよりは、まとまっていた、まずまずの劇場版総集編でした♪
この内容なら来る『~Final Season』放送前に復習として本作を流せば起爆剤になると思います。
NHKさん、如何でしょうかw