tomledoru さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「君の"好き"は、僕を変える」好きと言えるようになる。
日無町では,人魚は忌み嫌われる存在だそうですが
そういう前提は,「ポニョ」とはかけ離れた映画です。
「ポニョ」は聡明で母性的な作品ですが,「ルー」は堅実で
父性的な作品と言えます。
絵柄の独特さ,村人が躍る様子は湯浅政明監督の
お得意とするところで,見慣れないと
奇妙に感じますが
今回の作品では『四畳半神話大系』のような
くどくどしさがなく
万人向きをねらって描かれているため
ジブリの作品と比べられることになります。
「ルー」は一貫して音楽好きの女の子
カイとの友情を越えて「ルー」はカイが
大好きです。
バンドや音楽は,「ルー」を鼓舞させます。
人魚ランドは人間たちのエゴに映りました。
反対派はかつて人魚に肉親や大事な人を
奪われた人たちで最後に誤解は解けますが
その気持ちはわからないでもありません。
結局は「ルー」や「ルーの父親」を忌み嫌うものとして
捕えてしまいます。
「ルー」が,遊歩の失踪の犯人されるところは気の毒でした。
お陰様のたたりで村が沈んで行くのは,奇想天外な
監督のアイディアでしょう。
日本の民間伝承や祟りを取り入れて話を急展開
させるというのはジブリにはない手法です。
人魚たちはこぞって村人たちを救います。
村人たちも人魚を見直して日傘を供与します。
(人魚は日に当たると燃えてしまうと設定から
=これもユニーク)
「ルーはカイのことが大好き」,でも
私たちは,好きというは持ちを素直に
周りの人に伝えているでしょうか。
カイが歌う最後の歌はそんなメッセージを発しています。
カイは,「ルー」のことが大好きだからずっと
そばにいてほしいと叫ぶのも空しく
人魚たちは,日光を遮るお陰岩が無くなったため
一斉に去っていきます。
しかし不思議と淋しい感じのしないエンディング
でした。
海外でも広く認められた作品らしく
日本では「ポニョ」の陰に隠れがちな作品らしいですが
湯浅政明監督の傑作映画の一つだと
思って鑑賞してみてはどうでしょうか。