ようす さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
荒れ果てた世界を旅する少女が二人。そんな世界で出会うものたち。
世界観を知れば知るほど、
引き込まれていく作品でした。
アニメは途中で終わっていますが、
原作も最終回を迎えたし、
続編のアニメ化はないかな?と少し期待中。
私は原作を読んでいませんが、wikiであらすじだけ読み、
この作品の一番の魅力は、最終回を迎えて初めて感じられるのだろうなと思いました。
もちろん、アニメでも時々感じられていましたけど。
それを感じるたびに、切ない気持ちになりました。
普段はほわーっと力の抜ける絵柄にごまかされて、
彼女達が直面している現実が見えにくくなっていましたが。
全12話です。
● ストーリー
荒れ果て、生き物は何もいない世界。
そんな世界を旅している二人の少女、チトとユーリ。
食べ物を探しながら最上層を目指し、ただ気の向くままに。
ケッテンクラートで終末世界を旅する日常。
おそらく遥か先の未来の話。
文明が残した廃墟の景色だけが広がっている世界。
何重にも積み上がった多層構造の都市を進み、
何かあるかもしれない最上層を目指す。
どうやら戦争で滅んでしまったのだろうということはなんとなく想像がつき、
チトもユーリも、かつての世界のことは知識でしか知らない。
たった二人だけの世界だが、
どこか楽しそうでもあるのは、二人でいるから。
チトは真面目な女の子、
ユーリはゆるくていい加減な女の子。
このコンビだからバランスが良い♪
ふと現実に目をやれば、
何もかもが滅んでしまった灰色の世界が広がっているのに、
二人のやり取りを見ていると、
ただほんわかした少女たちの日常でしかない。
ゆるい絵も、緊張感をなくします。笑
何もない、滅んだこの世界を旅する少女たちの、
楽しそうな声と笑顔だけがこの世界の光。
この何とも言えないバランスがこの作品の魅力かな。
1話ずつのんびり見るのがいい作品。
正直1話1話のストーリーを面白いとは感じませんでした。
だけど、終盤になるにつれて、
妙にこの世界に惹かれてやまなかったです。
≪ 終末世界 ≫
彼女達の旅と共に、
かつて存在してあったであろう人類の文明を感じられます。
カメラも海もチョコレートも歌も、
二人は詳しく知らない。
かつてそこにいた人たちが、どんな思いを巡らせていたのか、どんなふうに楽しんでいたのか、そんなことを想像するだけ。
話が進むにつれて、少しずつ見えてくる、
かつてのこの世界にあったであろうものたち。
そこにいたであろう人たちの暮らし。
終末世界の作画は、怖さもありながら、
チトとユーリの二人がいることで、どこか美しさもある。
もしどちらか一人がいなくなってしまったら…
この世界はあっという間に絶望で染まりそう。
この世界にたった一人なんて、
生きている目的を見つけない限り、耐えられないよ。
≪ テーマ ≫
1話が2~3個の話で構成されています。
その中には、深いテーマも。
例えば、9話の“生命”。
生きてるってどういうこと?生命体って何?というユーリの何気ない一言から、問いが深まっていく。
私も生命と生命じゃないものの境目を見ながら考えていたけれど、
(子孫を残すかどうかとか。)
9話を見ていると、
答えはそんな単純なものじゃないと気付かされる。
最終的に二人が出した答えは、
{netabare} 生命とは、終わりがあるということ。 {/netabare}
この作品だからこその説得力があり、
良いテーマの回だと思いました^^
● 音楽
どの曲もこの作品に合っています^^
【 OP「動く、動く」/ チト(水瀬いのり)、ユーリ(久保ユリカ) 】
楽しい曲ですよね。チトとユーリの歌声もかわいい♪
耳で聞いていたのと実際の歌詞が違っていてびっくりしました。
「動く 動く」だと思っていたのは、「we go walk」だったり。
【 ED「More One Night」/ チト(水瀬いのり)、ユーリ(久保ユリカ) 】
OPも楽しい曲ですが、
私にはこちらの曲の方が明るい曲に感じられました。
【 挿入歌「雨だれの歌」/ チト(水瀬いのり)、ユーリ(久保ユリカ) 】
私が一番好きなのはこの曲です。
本当は音楽の評価を☆3.5にしようと思ってたけど、
この曲が良すぎて、作品にハマり過ぎてて、評価を上げました。
{netabare} 最終回。 {/netabare}
絶望しか残らなかったはずなのに、今まで通り二人一緒だからハッピーエンドという、不思議な余韻にもぴったりで、心の中にも雨だれの音が響きました(´;ω;`)
● まとめ
世界観や作画、声優、音楽。
どれも良くて、
アニメとしてはとても良い作品だったと思いました。
世界にたった二人だけ。
でも、不思議と寂しくない。だって一人じゃないから。
過去に何があったのかは、
なんとなくしか知らない。
今はただ、進むだけ。
生きて新しい何かと出会うため。
絶望しかない世界で、明るく前向きに進む彼女たちの姿に癒されもするし、切なさも感じる、不思議な雰囲気でした。
二人には幸せになってほしい。
でも、二人のような子どもが未来にいないことのないように。
今を生きる私達は、
選択を間違ってはいけないですね。