waon.n さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
豪快!爽快!めちゃクール&キュート!
最近途中経過書くのやめるとか書いたけどあれは嘘だ。
設定がとにかく面白そう。動きも良い!
1話の掴みも最高!
とにかく次週が楽しみ。1話目を称賛するとその後続かないとかよくあるから頑張ってもらいたい。
2~3話しかっりしてるなーっていうのがとりあえずの印象。
脚本に瀬古浩司さんを起用してた。この方は安定して面白く見れているからすごい。特に『ヴィンランド・サガ』『ドロヘドロ』が最近では私にぶっ刺さっている。
期待感が上がるのも仕方がない。
視聴が終了したので以下を追記。
ここより先はネタバレなので隠します。
{netabare}
デカダンス、1~3話で世界をひっくり返す手法は初めて観た気がする。
こういった『実は〇〇だった』をこれまで、効果的に使用している作品は多く、パッと思い付くだけで、『まどマギ』『PSYCHO-PASS』『クリオディアコード』まだまだあるとは思うけれど、最近観たとか分かりやすく印象に残っているところだと、とりあえずこのあたり。どれも後半に持ってくることで、そこまで作り上げていた下地が覆された驚きと違う視点から物語を見れるようになる事で、その作品の深海が増す構造を持っている。
実はこれらには弱点もあり、その後を物語る時間が足りないというのが最もツライ。だからこそ、続編で補うのだけれど、やっぱり続編は続編として別の作品になってしまう。また、そこまでも魅力的でないと一番面白い仕掛けに行くまでに見られなくなる懸念点もあげられる。
さて、デカダンスに話を戻してみると、この作品は序盤で視聴者側の思い込みを利用したセンスオブワンダーを見せつける。
まずは1話目が素晴らしいのでその話を詳しくしたい。
この1話目はデカダンスの物語を動かしながらほとんど理解させている点が素晴らしい。ここで理解させた事で、思い込みを利用する1話の終了間際の演出がめっちゃ効いてくる。
その思いこみというのは、1話終了間際の数カットで、もう一つの世界の住民が、今あったエキサイティングな映像を天気のニュースを見るかのように、あっさりとしたリアクションしかとらないのカットを映し、あたかも日常だと言わんばかりのアナウンスが入れる。
ここで、あれ? となる、どっちが現実なんだ? と分からなくなる。
ここに人間の姿をしているのは現実だという思い込みがあるように思われる。
人間の姿でゲームをしているサイボーグと、サイボーグでゲームのアバターのような容姿で日常的な行動を行う人。
次回からはいったいどんなストーリーになるのか見当もつかない終わり方をしている。
世界設定を簡単におさらいしてみよう。
現在の視聴している我々の世界とほぼ変わらない世界がかつてあった。
しかし、汚染により人の住める地球ではなくなってしまい、サイボーグ化することで、これを乗り越える。
そこから宇宙へと生活のフィールドを移し、そこから地球の一部大陸へとゲームにログインするという形でデカダンスは存在する。
そのなかをNPCとして存在しているのが、本作品の主人公である。
この話はあくまでも、この世界在り方に疑問を持ち抗う男と、自分の世界を救うことを一途に願い、行動を起こす女の子の二重螺旋的な物語の構造をしている。
そして、男の視点と女の子の視点どちらで観るかによって、この物語が覆る瞬間の訪れが違って見えてくる。
男の場合は既に世界の形が分かっているところから、その世界を視聴者と共有する形で行われる。
一方女の子の方は知らないまま物語は進み、世界の事実を知る事になる。
ここでは、ドラマティックアイロニーのような手法が使われていて、世界の真実を彼女が理解する時には、視聴者は事前に世界の真実を知っている。
そのこギャップを上手く利用できるかどうかは、演出や脚本の腕の見せどころで、良くなければ陳腐にみえてしまうことだっただろう。
女の子は世界の事実に驚愕する。そこからの行動が今までの物語のなかで視聴者に読み取らせた人物像をもとにどの様な行動になり、共感を与え、感動を誘うのか。このポイントが多分この物語最大の見せ場になる。ここで二重螺旋的に決して交わることのなかった二人の認識が一つになる瞬間であり、世界の行方がどうなるのか想像もつかない。
この作品の一番のポイントだっただろう。
テーマがあるとすれば、さんざんこの作品で言っている、
「世界にバグは不要です」
これがキーポイントになるだろう。しかし、作品の最後にはバグも一つのシステムだという。
世界を作ること、壊すことどちらもシステムを作ったものに握られている。
あくまでも、彼、彼女の行ったことは、システムからみたら本当はどちらでもよくリセットボタンを押すのと同じくらい容易なものだっただろう。
人によっては簡単に手放せるものでも、他の人から見ると、違って見えるんだ。当たり前のことだけれど、そう語りかけられたようにも私には感ぜられた。そして、やっぱり目の前のことに全力になれるのはどうしたって輝いて見える。それはなかなか簡単なことではないから、こういったフィクションのなかにこそ見いだしたいと切に願っているのだろう。
敢えてあげる、気になる点。
組長の動機や行動がなかなか共感しえなかった。物語として人によっては破綻しているようにも読み取ってしまいかねない、若干雑に感じる部分ではある。これは物語に出てくるキャラクター全体にも実は言える。
しかし、共感する人物もいて、それがこの世界ではNPCのような存在の彼ら。タンカーと呼ばれる人もしくは「かの力」のメンバー。
ここにはやはり隔たりを感じさせる。
実は意図的にされていることなんじゃないかとも考えることができて、もしそうなら、かなり繊細に作りこまれていて、製作陣にしてやられた。
だって、全力で面白かったんだ。気になる点なんて気にならないほどに。
{/netabare}
おしまい。