くろゆき* さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「太陽拳」はスキンヘッドじゃなくても放てる
ドラゴンボールの外伝的な作品で、主人公・孫悟空の父親でサイヤ人の下級戦士バーダックの物語でしたな。
バーダックは他のサイヤ人同様宇宙の帝王フリーザの下で様々な惑星の「地上げ」を仲間と共に行っておりましたが、カナッサ星を攻め落とした際に生き残りの戦士トオロによって未来を予知できる幻の拳を受けた事によって運命が激変したのでした。
彼が見た未来とは、サイヤ人が全滅する未来と、我が子カカロット(孫悟空)が成長していく姿と言うのが何とも皮肉と言いますか何と言いますか・・・。
フリーザの裏切りによって仲間を殺され、奴がサイヤ人を全滅させようとしている事を知ったバーダックは、急いで故郷である惑星ベジータに帰還し、他のサイヤ人に急を告げるも誰にも信じてもらえず、そんな同胞に失望しながらも自分達の未来を変えるべく絶対的な強さを誇るフリーザに絶望的な闘いを挑み・・・・。
本作の主人公であるバーダックは正義のヒーローでもなんでもなく、侵略の手先として多くの星を滅ぼしてきた「悪」の一人に過ぎませんが、そんな彼でも同胞を想う気持ちがあり、絶望的な未来を知りつつも逃げずに全身全霊で運命に抗ったのでしょうなあ。
対照的なのが幼少時のベジータで、父親を含む同胞の死にも微塵も心を動かされておりませんでした。いやはやにんともかんとも。
フリーザの側近・ドドリアの手にかかり非業の死を遂げた仲間・トーマのバンダナを血で赤く染まるほど握り締める描写には、バーダックの静かな怒りが感じられて心を動かされるものがありましたな。
あ、そうそう出撃していた部下とバーダックごと惑星ベジータを跡形もなく破壊したフリーザの狂喜ぶりは凄まじいものがありましたなあ。
中尾さんの怪演が光ります。背筋がゾクゾクしましたわ。
本作はあくまでもアニメオリジナルのお話ですが、後に原作でも彼について言及されていたのが少し嬉しかったですねえ。