ニワカオヤジ さんの感想・評価
3.3
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
下剋上の意味
本が大好きで、念願の司書になるはずだった主人公、本須麗乃が、{netabare}本の読めない世界に転生してしまう話。
本がないどころか紙もないので、まず本の材料から作ろうと考えて、粘土板、木簡など試行錯誤を重ねて徐々に目的に近づいていくストーリーは、他の転生ものより地味ですが珍しい題材で新鮮でした。{/netabare}
しかし、話の根幹に関わる部分に疑問があり、面白いんだけど話に没入できないところもありました。
{netabare}
●マインの知識量と実行能力
いくら本が好きだとしても、新卒の女子が、活字で得た知識だけで実体験がないであろう料理や道具の作成、金銭管理などを次々とこなしていくのは無理があると思いました。
そんなマインに家族やルッツが違和感を覚えますが、現実社会でもこんなに八面六臂の新入社員がいたら違和感ありまくりですね。子供二人くらい産んでるんじゃね?って噂になりそう。
そういえば、麗乃が新卒の女の子というのは第一話のモノローグで自称しているだけですね。
実は麗乃の正体は人事課エリートサラリーマンで、
リストラされた同僚に線路に突き落とされ、死後の世界で創造主(存在X)に超現実主義かつ無信仰なところを咎められ、異世界で苦労させて信仰を取り戻させるために幼女ターニャ・デグレチャフ・・・じゃなかったマインとして転生させられたんじゃなかろうか。
●マインの行動原理
マインは本を読みたがっているので、マインの「本好き」=「活字中毒」です。決して、本そのもの、つまり紙が折り重なっていたりするのを見るのが好きなわけではありません。
そして活字中毒者における本の最大の魅力は疑似体験、つまり自分では実際に経験できない知識を活字から得られることだと思います。
マインが本を読みたくてしょうがない気持ちは分かりますが、果たして読みたいからといって、「本を作りたい」と思うんでしょうか?
本を作ったとして、内容はどうするのか? 自分で書くしかないんでしょうが、前述の通り、新たな知識を得られるはずがなく、活字中毒者には空しいだけではないでしょうか。
それとも、二期をまだ序盤しか見てないのですが、もしかして二期ラストでは、やっと作った本をめくりながらインクの匂いにハアハア興奮して、それでも次第に満足できなくなってきたマインはルッツに命じて本の紐で自らの体を縛り上げさせ、本の表紙で叩かれて喜んじゃう変態幼女になってしまうとか・・・
本来は人類に使役される道具たる本に、それを作成したマインが隷属してしまう。これがホントの「本好きの下剋上」{/netabare}