「バケモノの子(アニメ映画)」

総合得点
70.3
感想・評価
639
棚に入れた
4225
ランキング
1603
★★★★☆ 3.8 (639)
物語
3.8
作画
4.1
声優
3.6
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

くろゆき* さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.0 作画 : 5.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

知らないこともっとたくさん知りたくない?

途中までは、「今度の細田守はちょっと一味違うか?」とも思えた点も部分的には
あったのですが・・・・・・・・・

映像は相変わらず高クオリティでしたね。例えば熊哲と猪王山の対決シーンは前者の
筋肉が膨れ上がる様とか普通に躍動感バネェで、まるでフィルム(自分が見たのは
他の多くの方同様某地上波放送時ででしたが)の中の彼らがホントに生きていたかの
様だったし、後述する一郎彦の終盤の暴走劇の際も、あの抑えられない憎悪の測り
しれない大きさを象徴していた様(?)だったクジラの不気味だけでなく、神秘さも
いくらか感じられたかのような独特のタッチもまさに「自分だけの武器」だったかもです。

また声優陣も、最近もジョジョの重ちー等が印象深い山口勝平氏等ちゃんとプロの人も
起用されていましたが、染谷将太氏も、役所広司氏も、広瀬すず氏もそういうプロの人
じゃないにしては頑張られていたレベルでした。しかし・・・・・・・・・・・・・

どうも描き切れていなかった肝心な点も目立ちました。楓が図書館で注意した
ごじゃっぺな連中に仕返しされかけたのを九太(蓮)が助けた際、姉ちゃん達が
兄ちゃん達が案の定彼にぶちのめされたのを見てすぐ逃げたのも、「お前らの友情って
そんな程度のものなんだな。」と冷ややかな笑いが浮かびましたが、彼女はまだ、
人間界では長い空白があった九太の道標みたいになっていて、ここらはそれなりでした。

途中で九太が親父と喧嘩したのも、前者がどうも短絡的だった様なで、まさに
「親の心子知らず」だったのでしょうが・・・・・・・途中までは「良い」寄りの
「普通」かなあでしたが、後半自分にとっての評価を大きく下げてしまったのは一郎彦の暴走です。

声優の宮野真守氏もどうも滑舌が良くなくて、「もっと頑張って!!あなたならもっと
出来る!!」でしたが・・・・・・勿論九太同様自分が人間だった事への葛藤も
描かれてはいて、バケモノの世界だろうが、人間の世界だろうが離婚または親の多忙等家庭環境故に
親子のすれ違いが起きてしまった悲哀も同じだとか言いたかったのでしょうが、
独り善がりに嫉妬していた九太を罵倒・暴行し、熊哲にも危害を食らわして挙句の果てに
人間界でも半ば好き勝手に暴走と、幼少時の九太の失踪共々「何故彼はそこまでしなければ
いけなかったほど追い詰められていたのか?」等の説得付けが甚だ不十分で、全く悪い意味で唐突にも感じられました。

彼との「宿命の戦い」は、実父以上に喧嘩しながらも、肉親以上の「絆」はあった事も
示されてはいて、上から目線な言い方なのは自覚した上で言いますが、結局こいつは
自分がこの世界(バケモノ)で最も不幸なんだと勝手に思い込んで、そういう不幸も自分の
都合の良い様に免罪符にしていた、甘ったれたガキがそのまま図体だけでかくなった
様な奴だったじゃないか。この程度の手合いがラスボスだったなんて普通にショボい
でしょでしたが。最後は彼も九太と同様に育ての親(猪王山)から実の肉親以上の
愛情を受けていたんだよとも示されていて、また手首に巻いていた赤い紐を見て何か
思う所もあった様ですが、そういう愛情も受けて、心を入れ替えて成長・改心した姿や
九太との和解とかも良く描いてほしかったです。

細田氏のクリエイターとしての努力を否定するわけではなく、長々と述べたけど、
要するに結局今回も他の作品同様、他の大きな肝心な点が抜けていて、見かけほど
人間ドラマとして訴えかけられたものが無かったです。細田氏はまた、確かに宮崎駿氏
以上のアニメーターになれる潜在能力もないわけではないとも思うのですが、勿体ない。
良い点もあるけど、悪い点がそれらをも台無しにしてしまったダメパターンにはまって
しまっていました。

投稿 : 2020/07/14
閲覧 : 224
サンキュー:

2

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