ウェスタンガール さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
鷲の勇気、蛇の知恵
“インサイト”とは、「洞察」とか「物事を見抜く力」のことである。
マーケティングにおいては、「人を動かす隠れた心理」を意味するそうだ。
今作、『インサイト』においては、前作で仄めかされた更なる闇が顔を出す。
人々が自ら考えることを放棄したとき、そこに存在するのは、総体の中の一部と成り果てた者の集まり、単なる社会的動物の枠を飛び越え、善意の皮をかぶった、主体なき“サル”の群れ。
今回、それを増幅する存在として、新たな、そして“善良な”宇宙人である“ゲルサドラ(ゲルちゃん)”が登場する。
最初は少年の姿で、そして青年に姿を変え、「みんなが一つになる」理想郷を目指し、新ヒロインの“つばさちゃん”と手を携えて政治の世界へ…。
ゲルちゃんの声を演じるのが、少年期が花澤香菜さん、そして青年期が杉田智和さん、そう、ハルヒのキョン。
声の違和感は全くなく、素晴らしいキャスティングであった。
知らず知らずのうちに満ち溢れ、社会を動かしてゆく“空気”の恐ろしさが、前回にも増してクローズアップされた作品であった。
そこには、自分たちは何と戦っているのだろうかという、ガッチャマンたちのジレンマが描かれている。
更に、ヒーロー物のお約束、変身し敵を完膚なきまで打ち倒すカッコ良さを、新たな視点で見せてくれた脚本に拍手を送りたい。
心に“カッツェさん”を携え、グレーゾーンを生きる“はじめちゃん”が再び立ち上がる。
積極的ニヒリズムを貫き通し、彼女は“超人”の域に達するのである。
そう、ニーチェである。
「おまえら、これが見たかったんだろ?」
制作者の声が聞こえてきそうな刹那、我々は彼女の驚きの生き様を目撃する。
「ヒーローって何っすかね~」
ミリオネ屋、日テレの自虐ネタも中々だ。