overnao さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
予想以上に本格派SFだった。ラストはホーキングのオマージュ?
やっぱ青ブタはキャラクターが良いですね。大半の登場人物がさとり世代とでも言うのか、物事に無関心な冷静さを持っていながらも、思慮深く賢い。高校生にしては精神年齢が高すぎるような気もするけど、よくあるご都合ラブコメ、難聴主人公、俺ツエー主人公より全然いいです。アニメの3話目で主人公がヒロインと付き合い出したのも、物語全体の安定感に寄与しているのかもしれない。化物語も同じような感じでうまくいっているけど、主人公自身のラブコメが早期終了していることで、気持ち悪いハーレム化現象が起きずに、主人公とヒロイン以外のキャラクターが生きてくる感じがします。
さて、映画である本作品のレビューですが、原作未読勢にとっては衝撃的な展開でした。ネタバレ防止の為詳細は語りませんが、ただ単にセンセーショナルな展開というだけではなく、思っていた以上に壮大かつ、主人公たちが暮らす世界の前提を揺るがすレベルの結末が待っていました。セカイ系の一種と言えるかもしれません。
TVアニメ部分までを見た限りでは、古典SFをモチーフとしながらも、難解なSFには首を突っ込まず、軽めの青春ミステリーといった作風を感じていました。要するに、SF要素はキャラクター達の日常を描くための道具として使っている程度だと思っていたわけです。それだけに、ここまでガチSF展開でくるか、と思わされました。非常に面白かったです。
ネガティブなことを書くと、尺が足りない印象を受けました。1回見ただけでは量子力学や相対性理論をモチーフとした難解な物語展開についていけません。原作2巻分を1時間30分のアニメに突っ込むのはやはり無理があったでしょう。アニメ5話分くらい使って丁寧に描いたほうがよかったんじゃないかと思います。
ネタバレになるのでやはり詳細は伏せますが、物語のエンディングで走馬灯のように時間が巻き戻るシーンがあります。このシーンは、ホーキング博士の半生を描いた映画「博士と彼女のセオリー」のエンディングのオマージュではないかと思います。ホーキング博士は量子論と相対性理論の研究者で、この点は本作の主題と重なるので、偶然似たようなシーンになったのではなく、制作スタッフが狙ってやったんだと思います。物語の最後を飾る美しくセンスの良いオマージュ演出だったと思います。