tag さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「人工的箱庭」の観察者
普通に見れば、ちょっと奇抜な演出による、正義感の強い男子高校生の主人公による、少女・幼女、女友人たちの怪異譚の爽快な解決の物語+ちょっと曲がったラブコメ要素ですかね。
主人公と連なるキャラ以外(せいぜい十数人?)は全く誰もいない世界、ほとんど直線だけで描かれた背景世界。主人公たちの所属する直江津高校以外、地名も、何もない第〇中学という情報ゼロな主人公たちの卒業中学設定。現実にあり得ない、世界の地理設定(東京湾岸とアリゾナがつながっている?)。背景で走っている車は、全部同じ色、車種。完全無比に生活感をなくした、そう、”人工的”な世界設定。何かがおかしい。これは、現実世界をアニメ”演出”として見せているのか、それとも”非”現実な設定世界をアニメ表現として見せているのか?まるで、シムシティ、別の世界線ではない、シミュレーション世界(人工的箱庭世界)。
アニメやSFに見慣れた観客は、怪異も、変な世界設定も特に問題なく受け入れる。しかし、それも暗黙的既知設定を使ったトリックか?怪異はと何か?このシリーズ第一弾は、主要主人公たちの怪異譚を解決することで、そのキャラ背景を理解させる目的もあるので直接は語られない。間接的にしか。
そうこの物語、間接的にしか、暗喩的にしか、この設定世界の真の設定を教えてはくれない。しかも、時間軸を意図的にバラバラにすることで、観客を迷子にさせる。結構重要なプロットもほったらかしで物語は進む。最初に述べたように、この物語の”暗黙的既知”設定を楽しむならそれでもよい。しかし、真の世界設定を理解するには、少々、骨が折れる。そう、暗黙的既知設定が理解の邪魔をする。
流石に、この観衆の”暗黙知的既知設定”を使ったトリックという裏ひっかけみたいな物語を理解させるために、この第一弾には、解説者(万能者)が登場する。チート的意味ではない、彼なりに間接的に、暗喩的に物語の真の設定を伝えようとする。
「(怪異から)助けるんじゃない、自分で勝手に助かるしかないんだよ」
「心の持ちようだけだらね」
そう、しきりに、心の話をする。怪異ではなく。
さて、この言葉が何を意味するのか?このシミュレーションゲームと言っていい「人工的箱庭」みたいな世界の、NPC(Non Players' Character)みたいに、同じセリフを繰り返すキャラ達は、いったいどんなゲームを進めているのか?仮説はできたが、検証はこの後の物語でやってみたいと思う。