RFC さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
SAOの集大成
さて、長かったアリシゼーションもいよいよ最終章。
1期からの流れの集大成になります。
原作読破勢として、
どういう結末とするのかを楽しみに視聴開始。
【作品概要】
仕事として、また個人的な思いから
アリスの奪取を目論むガブリエル・ミラー。
そしてとある理由でアインクラッド時代から
執拗にキリトをつけ狙うヴァサゴ(PoH)。
一方で目覚めぬキリトを助けにUWに飛び込んだ
アスナ・シノン・リーファ。
これまで積み上げてきたすべてを出し切り、
アリスを死守します。
現実とUWが交差しながら、物語は進みます。
【作品に対する感想】
私は原作を先に読破してしまっているので、
自分のイメージに合っているところ、
それ以上にすごかったところ、
逆に「そこはもうちょっと」と思ったところ、
いろいろありました。
ですが、原作執筆後に制作されたOSの内容もうまく入れつつ、
かつ原作に忠実に、長丁場を上手く走り切ったと思います。
SAOという大きなスケールの物語の最終章に
ふさわしかったと思います。
アリシゼーションはもともとのWeb版での終着点で、
2020時点ではラノベ版でもUWのこの先は
まだほとんど描かれてません。
{netabare}
消えたヴァサゴの死体や茅場(ニエモン)、
コピーキリトなど未消化なフラグもあったりしますが、
それはきっといつか描かれていくんでしょう。
{/netabare}
1)物語
戦場の真っただ中なんで
いきなり5速スタートって感じですね。
ただ物語として印象深いのは、アンダーワールドの
ごたごただけで終わらなかったところですね。
エピローグが結構長いんですけど、
この辺は賛否あろうかと思います。
私はSAOは「ただゲームしてバトルして」って
わけではない作品と思いますので、この事後処理だったり
各立場の方々の思惑だったり、きっちり描かれている方が
好感持てます。
AI、人造の魂の在り方などの問いかけは
いろいろ考えさせられました。
AIの人権なんて言葉が出てきたときは
理解が追い付かなかったですね。
全体的に説明や裏付けはカットされていたところが
多かったので、その辺は原作読んで
補完するしかないかなと思います。
2)作画
➀痛みの描写1
アリシゼーション編の作画において、私が最も注視したのは
「痛み」の描写です。
何せペインアブソーバ0なので、今までのVRMMOとは違うのです。
規制やら現実のしがらみの中で
どう表現するかと思ってましたが…。
痛みの描写は前半はかなりマイルドになっていたかなと思います。
これまでのアリシゼーションと同様、不満でした。
{netabare}
原作の方ではヒロインアスナでさえ、味方をかばって
わき腹をランスが貫通するなんてシーンも
あったんですけど…。
エギルはシリカをかばって槍をその身に受け、
クラインも左腕を切断され…。
ただ、後半リーファが参戦したあたりから
突然きつい描写が増加したように思えます。
私は最初からこのくらいの描写があっても
よかったと思います。
{/netabare}
賛否はあるとは思うんですけど、そのくらい
厳しい環境に覚悟を持って臨んだって
分かるようにしていないと、
「所詮仮想空間で死なないんでしょ?」って
思われないかなって感じたんですよね。
➁痛みの描写2
{netabare}
併せてキリトが復帰してからは、アスナも含めギャラリーの
描写はちょっと違和感ありました。
骨折など負傷でボロボロのはずなのに
普通に立って声援を送ってます。
アニメのみ視聴の方からすると
「立てるなら援護しようよ」って思っちゃいそうです。
もっとボロボロ感あってよかったんじゃないでしょうか。
エギルなんか槍3本刺さってるんですから
立てる状態じゃないと思うんですよね。
それどころか意識飛んでもおかしくないと思います。
{/netabare}
➂太線
苛烈な戦いの表現方法としてSAOシリーズで
初の試みではないでしょうか?
最初違和感ありましたが、これはこれでアリかなと。
➃裏斬り
無茶苦茶かっこいい描写に仕上がってました。
3)声優
時間が押してるせいか、間を切り詰めてセリフを
詰め込んでる印象を受けたシーンもありました。
ちょっと残念。(独白とか)
痛みの演技。
規制なのか、演出の影響なのか、キャストの力量なのか
ペインアブソーバーゼロという感じが
出てなかったと思います。
この辺はReゼロ並みにやってほしかったなと。
戸松さん渾身の「苦悶の絶叫」聞いてみたかったですね。
神様アカウントやコンバートゆえHPが莫大で死なないけど、
「気絶してもおかしくない痛み」を精神で凌駕してなお戦う。
この辺の必死さ、尋常ない様を演じてほしかったです。
でないと、アスナの心が折れたのが割とアッサリに
見えてしまって…。
アニメ組の方に、その辺のきつさが伝わってくれてれば
いいんですけど…。
4)音楽
OP「ANIMA」
強烈な一言「魂の色は何色ですか?」。
おっさんには北斗の拳の名セリフ
「てめえらの血の色は何色だ?」
を彷彿させますね。
SAO集大成だけに1期の頃の名曲が流れてたり、
興奮させられました。
5)キャラ
➀朝田志乃(シノン)
GGO直後はキリトに対し愛っていう程の
好意ではなかったと思います。
{netabare}
しかし今作ではっきり「好き」と言葉にしたり
お守りにキスしたり、ちょっと大胆な言動が多いです。
{/netabare}
クールビューディーでありながら、強い愛を示すこの娘は
かなり魅力的に見えました。
ダイブ直後でありながら強固なイマジネーションで
弓をヘカートⅡに変換するという、整合騎士もびっくりの
離れ業をやってのけました。
この辺も想いの強さがなせる業なんでしょう。
➁桐ケ谷直葉(リーファ)
フェアリーダンスでメインヒロインだったはずなのに
ここのところMore DEBAN組のリズ・シリカに取り込まれる
勢いでしたが、今作では頑張りました。
ダイブしたばかりで心意拡張したヴォーパルストライク
ぶっ放すなど、覚悟のほどを感じます。
健気なところにやっぱり魅力を感じるんですよね。
➂結城明日奈(アスナ)
キリトへの半端ない愛情が伝わってくる奮闘ぶりでした。
逆に他のヒロインに対してちょっと余裕がありすぎるという
違和感はありました。
もうちょい嫉妬や防衛本能みたいなのは
あってもいいんじゃないかと。
➃桐ケ谷和人(キリト)
アリシゼーションでの最大の失敗は、ダイシーカフェで
何者かの視線に気づいていながら、
一人で解決しようとしたことですね。
あそこで毒を受けなければ、ここまでの大騒ぎに
なってないと思われます。
➄ベルクーリ
渋すぎる粋なおっさん。
こんなおっさんになりたいと思っていた私もおりましたorz。
➅ヴァサゴ・カザルス(PoH)
プログレッシブを読んでたら彼の異常な行動の理由も
少し納得いくかもしれませんが、これまで映像化された
部分だけだと、ちょっと理解しきれないですね。
⑦アリス
まさか{netabare}現実世界に出てくるとは{/netabare}。
23話のアリスは可愛さ5割増しでした。
半世紀後にはこんなことが実際に起きるんでしょうかね。
6)印象深いシーン
{netabare}
➀ロニエのボヤキ
シノン登場に「おんなのひとばっかり」
ここ拾ってくれて大感謝です。
原作読んでても噴いたシーン。
➁大胆シノン
正妻アスナがおる前でスキをついて(?)ほっぺチュー。
もーちょっと「普段は抑えているけど、壊れたキリトを前に
せざるを得なかった」感が出てればなお良かったです。
➂ベルクーリVS皇帝
皇帝の気持ち悪さが爆裂でしたね。
原作読んでるときもベルクーリはベクタの噛ませに
されるのかと思ってましたが、スーパーアカウントに
勝っちゃったのはびっくりでした。
オジサマの執念に脱帽です。
ただ、リアルワールド側の人間は実際死ぬわけではない。
アリスの絶望感は良く描けていたと思いますし、
茅野さんの演技も秀逸でした。
➃一瞬ですがフレニーカ描いてくれてた
誰?って思うかもしれませんが、アリシゼーション
1クール目で下衆の側付やってた娘です。
このワンカット有難かったです。
騎士への道から修道女への道に転身していたんですよね。
➄ナメクジさん、アドミーちゃんにコントロールされる
フラクトライトの人格に、人間がコントロールされてる
というのは原作読んだときから割と衝撃でした。
柳井さんとナメクジさんと声一緒なのは
こだわりを感じました。
➅PoHの扇動をユナの歌で上書きするアニオリ
後付けのOSの設定を上手く使っているのは好感度UPです。
SAOサーバーの起動はユナを呼ぶためだったんですね。
ARでの戦い方を踏襲したような気合の入った
バトルシーンは見ごたえありました。
そしてエイジの心の成長もまた感慨深かったです。
過去の失敗を認め、受け入れて乗り越えていきましたね。
尤もOSを観ていない方からすれば
「誰こいつ?」だったと思いますが。
⑦キリトVS PoH
原作読んでた時も予想外でした。
まさか生きたままアンダーワールドに閉じ込めてしまうとは。
⑧キリト アスナ 互いの愛情
キリトのアスナへの愛情って凄いと思うんですよ。
体感時間で200年も会えなくなる
+
まともに現実世界に戻れるかわからない。
という状況で、迷わずアスナを現実世界に戻し、
自分を犠牲にすると選択できる。
10代で簡単にできることではないと思うんですよね。
でアスナの方もキリトの思惑を読んで
共に200年UWから出られなくなる方を選んだんですから、
本当に互いを想ってるんだなと感じました。
ちょっと後の話ですけど、キリアスの
足ちょんちょんでのイチャイチャには参りました。
こういう表現もあるんだと。
⑨キリトパパ キリトを説教する
説教と粋なおちょくりをカットしなかったのが好感触です。
大人がまともだと物語の説得力が増しますね。
スグの「オ、オトウサマ!?」に噴きましたけど。
{/netabare}
7)惜しい!と思ったシーン
{netabare}
➀アスナ VS PoH マザーズロザリオ
OSでやっちゃったのがものすごく勿体ない。
ここで初出だったらトリップするくらい
「キターーー!!」だったと思うんですけど。
➁真意≒イマジネーションの説明は確り入れたほうがよかった
シノンの弓→へカートの描写とか、その辺の説明がないと
「なんで?」ってご都合主義に捉えられかねないと
思いました。
思いの強さで限界を超えるって、
やっぱり熱いじゃないですか。
➂ゲーム未プレイ者やプログレッシブを読んでない人は
PoHがほぼ初出
PoHってアインクラッド編で
名前すら出てなかったような気がします。
アニメのみの方からすると「誰こいつ?」って
思っちゃうんじゃないでしょうか?
圏内殺人の時の映像使って説明するとか
フォローが必要だったかなと思います。
➃人族が 豚を助けて 人を斬る 友蔵心の俳句
アリシのレビューでも書きましたが、
ほらやっぱりDILに無茶苦茶された。
触手プレイがトレンド一位とかになるし(# ゚Д゚)
やりすぎると何が本筋かわからなくなるので、
ほどほどでよかったんじゃないかなーって思いました。
➄目覚めて突然エレメンタラー キリト
キリトはもともとエレメントの扱いがあまり
得意ではなかったはずなのに、目覚めたとたん
風素で空飛んでったり、ちょっと唐突感がありました。
また扱えるようになった説明があまりなかったため、
心意で飛んでったように見え「何でもありじゃん」に
見えた方が多数いるのでは…。
➅ガブリエルVSキリト
作画が凄まじかったものの、説明不足で残念に感じた
ところも。
ガブリエルって全属性吸収+銃撃以外の直接攻撃吸収って
無茶苦茶な属性持ちなんですよね。
作画班が死んでしまいますが、
体術も絡めたバトルは再現してほしかったかなと。
ガブリエルの強さがより際立ったと思います。
テンポとのトレードオフなので、
しょうがないとは思うんですけどね。
ご都合主義に感じた方は原作読んでみてください。
⑦200年後のSpaceArtOnline
映像になると唐突感が半端ないですね。
機竜ってもっとメカドラゴン的なものを想像してたん
ですけど、まんま戦闘機でずっこけました。
⑧正妻VS現地妻 ピリピリ感があまり…
シーンがカットされてたり、表現がマイルドになってたり
アスナは菩薩かと思ってしまいました。
アスナは割と他の女子と仲良くしてますが、
アリスとは割と犬猿の仲なんですよね。
というのはキリトへのアプローチの本気度だと思います。
リズ…好意はあるがアスナを応援してる側
シリカ…妹扱いで彼女にはなれないと思っている感じ
リーファ…禁断の愛ではないものの、割り切った模様
シノン…アスナから奪いたいとまでは思っていない様子
アルゴ…好意はあるようですがキリアスを応援してる
アリス…ガチで正妻は自分と思っている
{/netabare}
8)プログレッシブ
余談ですがプログレッシブ映像化決定したようですね。
原作準拠だとアインクラッドを1層から順に描いていく…
という物語なんですけど、
どのように描いていくか楽しみです。
{netabare}
ちょっとSAO1期の頃のような、デスゲームゆえの悲壮感が
希釈されているような気がしますが、
ゲーム「SwordArtOnline」のルールや細かい所が
物語のキーになってたりしますので、
違った切り口で楽しめると思います。
街の中でのやり取りなども細かく描かれていて、
無印のアインクラッド編に比べると生活感が出てます。
個人的にはアルゴという情報屋の出番が増えるのが
楽しみの一つ。
無印では名前も出てこなかったんですけど、
鼻にかかった眠そうな声が印象的でした。
{/netabare}
今でこそいちゃラブのキリアスですが、警戒心バリバリの
アスナをもう一度見られるのも期待大です。
心配なのは、原作ストックがまだ6層で、
間に合うのか?というところですね。