ねっち さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
異常なまでの完成度
ワンクールアニメの中でも面白さではトップ3には入るであろう傑作です。今回久々に見返しましたが前回試聴した時の感動を超えてきました。
この作品、素晴らしいところはたくさんあるのですがまず思い浮かぶのは視聴者を一切飽きさせないというところです。ちなみに現状では私の見てきたアニメの中では一番面白い第一話は本作かなと思います。シリアスな演出や意味ありげなカット、次回への強烈な引きによって終始鳥肌が立ちっぱなしでした。
掴みとして非常に重要な第一話ですがこの作品は淡々と始まります。設定としては割と普通のタイムリープで主人公も平凡、序盤はもしかしたら退屈で一話が長く感じるかもしれません。しかし、一話のラストでこれまで数分しか戻らなかったリバイバルが一気に18年ものタイムリープをします。今までの話の淡白さとのギャップから鳥肌がとんでもなかったです。
ここからは私が特に気に入ったシーンを紹介します。
第8話にて雛月を匿っていた廃バスが時間の螺旋の中にあると知った悟が雛月を自宅へ泊める場面があるのですがここでの朝食の描写が本当に素晴らしかったです。これまで冷たい朝食しか知らなかった雛月が初めて温かい朝ごはんを前にして泣き出すシーンは初めて雛月が少し報われた気がして私もウルっときてしまいました。
僕街は伏線回収や犯人探しの面白さだけでなくなんならそれ以上に雛月や悟の仲間の人間ドラマが一つ一つ心に残ります。そして私がこの作品で一番凄いと思ったことは「僕だけがいない街」というタイトルです。私自身タイトルに意味を持たせた作品というのは結構考えられてる感じがして好きなのですが、この作品は本当にすごかったです。この作品において本当に大切だったのは悟が眠っている空白の期間、悟だけがいない世界のことだったのです。作中で「信じる」と言っているうちは本当に信じてるとは言えない。それは信じたいという気持ちなんだというセリフがあります。(セリフ内容やニュアンスが若干違ったかもしれませんが)このセリフ通り、悟の周りの人達は悟のために、犯人を捕まえるために、言葉にせずとも悟を信じて空白の期間を過ごしてきたんです。私はその信じることこそが「僕だけがいない街」のメッセージだと受けとりました。
本当にとんでもない作品でした。
実はアニメ版と漫画版では結構違っていて漫画版も凄まじく面白いので是非そちらも読んでいない方がいましたら読んでみてください。
92/100点