たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「デビルマン」を作った湯浅政明とは思えない陳腐さ
「ポストアポカリプス(黙示録後の世界)」というSFのジャンルをご存知だろうか?
今まさに、世界中で起きている伝染病(コロナウイルス)や震災、豪雨などのあとに来る二次災害(主に人的被害)によるカタストロフ(破滅)を描いているSFのジャンルである。
アポカリプス(黙示録)とは旧約聖書後に、キリスト教徒によって書かれた「新約聖書」の最終章、別名「ヨハネの黙示録」のことである。
この後に聖書では、「正しきものは天国に行き、悪しきものは地獄に落ちる。」とされる。。
フィクションの中では、それこそハリウッド映画はもちろんのことアメコミ、ゲーム、漫画、小説などなど枚挙に暇がないジャンルである。
日本で代表的な作品と言えば、楳図かずお「漂流教室」永井豪「バイオレンスジャック」、武論尊原作原哲夫作画「北斗の拳」、望月峯太郎「ドラゴンヘッド」田村由美「7seed」と、少女漫画から青年漫画に至るまであり。。。
その元祖といえるのが、「日本SFの父」小松左京の「日本沈没」である。
原作は二度に渡る映画化で、ある歳の人間なら知らない方が不思議な方かも知れない。
さて、今回。あの「デビルマン」のリメイクで見事、「アポカリプス(黙示録)」的な世界観を表現した天才アニメ監督「湯浅正明」が監督することで、公開前からかなり話題の作品でしたが、本作はシナリオも演出も作画も非常に陳腐で、同じ監督が作ったとは思えないほどクオリティが低いです。
まず、文字のごとく「日本沈没」するというのにそのことによる社会情勢の変化も、人々の動揺や人間模様などほとんど描かれず、かといって主人公含めた「武藤一家」のファミリーの絆も中途半端で、非常に底が浅い。
こういう災害で唐突に人命が損なわれるというのはわかりますが、それにしても上記の名だたる漫画作品と比べると、天と地ほどの差があります。全く心に響いてこない。
ただ、エログロバイオレンスをやれば良いのか?というのは、賛同しかねますが、こういった災害の状況化における本当の恐怖や注意点を描けていないのはジャンルとしてはかなり致命的だと思います。
楳図かずおも永井豪も、望月峯太郎も物事を深く考える「洞察力」があるのですが、せっかくのネットフリックスという場を活用できなかったことは残念んでなりません。
湯浅政明監督作品として今回は最低評価です。これは細田守監督の「未来のミライ」以来のがっかり作品でした。