タック二階堂 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
超巨大移動要塞都市・デカダンスに暮らす人たちの日常と戦争。
詳細は公式でも。
「幼女戦記」のNUTによる完全オリジナルアニメです。
なんとなくですが、前知識がなんにもない段階でタイトルを聞いて「バガボンド」的な原作漫画があるのかなって気がしてました。で、公式サイトのサムネとかをチラッと見て、なんとなく登山家のおっさんと、バディの女の子によるクライミングアニメなのかなって想像していて、そこまでの期待感を持っていなかったんです。
いやこれ、面白いです。初回の印象で、いろいろと覆されました。
{netabare}
幼少期のナツメ(メインヒロイン)が、父親の仕事場に押しかけるところから始まります。そのとき、未知の生物「ガドル」に襲われ、ナツメは父親と右腕を失うことになってしまいました。
それから何年か経ち、戦士に憧れていたナツメは五体満足ではないという理由で、戦士にはなれずに装甲修理人・カブラギの元に配属され、鎧甲の掃除を担当する毎日を送ることに。そんな折、ガドル軍に急襲された超巨大移動要塞都市・デカダンスは戦火を交えることになりました。はたして、デカダンスの運命やいかに……。
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という初回のお話です。
修理工であるカブラギは、ナツメとともにデカダンスから転落してしまうのですが、ガドルの展開するブニョブニョした膜によって墜落死を免れます。すでに絶命した戦士から装備を拝借したカブラギは、空中を飛び回りながらガドルたちを殲滅していきます。
はい、このへんは「進撃の巨人」の立体機動装置オマージュですw
正体不明のバケモノによって、限られたスペースに追いやられながら抵抗を続ける人類という構図も、おそらく進撃からヒントを得ている気がします。移動要塞で暮らすメインヒロインのお仕事モノっぽいところは「空挺ドラゴンズ」にも近いかな。移動要塞の意匠もスチームパンクっぽさがあり、好きって人も多いかもしれません。
作画、映像も非常に高いクオリティ。ストーリーも、初回としては過不足なく世界観の説明している感じで、すっと入り込んでいくことができました。今後の展開も期待できそうな、とても大物感のあるアニメ。これは文句なしに継続視聴です。
=====第2話視聴後、追記です。
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こりゃ驚いた。いきなり世界観を大きく変えて、すごい謎をぶっ込んできました。
とにかく観るしかないですね。
もしかすると、もの凄い傑作になるかもしれないです。
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=====最終話視聴後、感想です。
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システムに抗うために、行動を起こしたカブラギ。そして、この世界の成り立ちについて理解が追いつかないナツメ。さらに、カブラギの行動に共感したジルやミナトの協力を得て、デカダンスを運営するシステムをある程度ダウンさせることに成功します。しかし、消滅させたはずのガドルが巨大化し、デカダンスを破壊しようと攻撃してきます。
そこで、カブラギはデカダンスに接続することでガドルを殲滅する作戦に。しかし、接続は成功したものの、デカダンスは再起動しません。システムの邪魔が入っていたからです。そこでカブラギは、システムに最後まで足掻いてみせると言い放ち、システムを黙らせることに成功。デカダンスが起動します。はたして、超巨大ガドルを倒すことができるのでしょうか?
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というお話です。
各話ごとに感想を記すタイプの作品でもないので、2話の超展開から毎話、楽しく視聴してきました。
システムに管理された機械であるカブラギが、人間のナツメと接することで、現状を打破するために自らの意志でシステムに反抗するバグとなる。そして同じくバグであるジルやドナテロたちとレジスタンスを起こすというストーリー。バトル物でありながら、これはカブラギとナツメの淡いラブストーリーでもあり、SFの要素もあって、アニメというエンタメという点では満点の出来だったと思います。
2話の段階で、なんともチープなデザインのゲームキャラが本体だと分かったときは、おやおやと思った人も多いかもしれません。しかし、機械のほうのキャラデザまでリアル寄りにしてしまうと、この作品の特徴でもあるメリハリが付かなくなるため、よりギャップの大きいデザインを採用したのでしょう。これは大正解だったと思います。
作画・声優の演技・OPEDすべてにおいて、関わったスタッフ、キャストが作品を面白く、良くしようという気持ちが映像から溢れている良作。1クールではもったいないほどの作品ですが、12話で見事なほどの起承転結を見せてくれるレベルの高い作品でした。今期ナンバーワンを争う素晴らしいアニメでした。これは、文句なしに視聴をおすすめできる作品です!
{/netabare}