STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
最後までアニメ化したわけではあるが
原作は未読。
一応、リメイクということなのかな。
旧作はこれから話が本格的に動き出すといったところで終わってしまったが、本作は最後まで
アニメ化。ただ、かなり原作から色々削られたようで判りにくいところが多々。
原作のあるアニメに関して、あまり削られていないが途中までと、かなり削られているが
最後まで描かれているものがあるが、同じ原作で2パターンの作品があると対比しやすい。
個人的には前者の方が好みではあったが、こうやって並べると途中で終わってしまうのは
思った以上に消化不良の感が強く、やはり一長一短といったところ。
改めて「ジョジョの奇妙な冒険」や「進撃の巨人」などは「恵まれているな」と思ったり。
キャストは一新。
例えば「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河英勇伝説」などのリメイクは旧作からかなり時を
経ているのでキャストを代えざるを得ないだろうが、本作に関しては旧作の主要キャラキャストは
今でも第一線で頑張っている方が多く、このキャスティング変更は演出的な意図があって
やっているのだろうなと思う。
主役の万次は旧作の関 智一氏の飄々とした演技がこの作品の持つユーモラスな雰囲気を
感じさせやすいのに対して、本作の津田 健次郎氏の重厚な演技は死ねない体からくるしぶとさを
感じさせる。
メインヒロインの浅野 凜に関しては敵討ちのシリアスさをより感じさせるのが本作の
佐倉 綾音氏の演技だったのに対して、まだ残る幼さからくる可愛らしさなどは旧作の
佐藤 利奈氏の演技の方が感じられたりでどちらがいいとは言いにくい感じ。これは他のキャラに
関してもそんな感じ。
エログロに関しては旧作より増していた感があったが、これは放送媒体が配信メインというのが
大きかったのかな。
話はダイジェスト的とはいえ、結末まで観られるのは嬉しいところで、それに伴ってより
キャラの魅力が増した感じ。
この作品、とにかく印象的なキャラが多すぎで、名前を揚げていくとキリがない。その反面、
これから活躍しそうな雰囲気で登場するも、あっさり退場する出落ちキャラもいるのが面白い。
キャラに関しては途中から気づいたが、黒衣 鯖人がブラック・サバス 、司戸 菱安が
シド・ヴィシャス、真理路がシン・リジィといった具合に和風ジョジョみたいなこと
やってたんだね。
旧作では判らなかった逸刀流の動きだが、幕府お抱えを目指していたのは意外だった。
逸刀流は形骸化した既存の流派に対するアンチテーゼとして実力主義を謳っていたが、その
実力を推し量るためにも戦闘を旨とする思想にならざるを得ない。
幕府が逸刀流を抱えれば、その思想が剣術流派内に留まらず、政治面にも波及していくことは
充分に考えられる。
そうなると文治主義から武断主義への逆戻りになるわけで、政治的安定を求める幕府がこんな
危険思想を持つ集団を認めるとは思えない。
実際、幕府は逸刀流潰しに走ったわけだが、仮に幕府お抱えになった場合、逸刀流にも権威が
生じるわけで、天津 影久の代はともかく、何代かを経るうちにその主義思想は形骸化して
いったんじゃないかなあ。
影久と凜だが、本来敵対する関係でありながら二人で行動することが多く、それに伴い
二人だけの会話も多かったが、実は逸刀流の者より、凜の方が影久を理解して
いたんじゃないだろうか?。
結局、万次さえ殺すには至らなかった影久を殺したのは凜で、宣言通り逸刀流の行末を見届けた
のちに影久を倒したわけだが、途中で凜に情が沸いたように思えた部分もあったので意外と言えば
意外な感も。
実際、行動を共にすることでストックホルム症候群のような感情は生じていたようだし、影久や
逸刀流の行動も復讐に根ざしたものであることを考えると理解できる部分はあったのかな?と思う。
ただ、影久という人に情が湧いても、その主義主張とそれを体現化した逸刀流は許せなかった
みたい。
最後は舞台が明治に移るが、万次にとってあれほど濃密な時間を過ごした仲間も敵ももはや
記憶の彼方というのは、それだけ時を経たことを感じさせるし、それでも死ねないことに哀れな
感もある。
2020/07/09