ウェスタンガール さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
天気輪の柱
ピングドラム、非常に気の利いた言葉遊びである。
少なくともそう感じた。
戦争映画、それも潜水艦映画好きなら“ピン”と来たはず。
アクティブ・ソーナーが出す探信音である“ピン”(Ping)は、相手の位置を特定する代わりに、自らも逆探知される危険性もはらむという点が面白い。
その“ピング”を打つ“ドラム”が、自己の存在を主張する“声”として描かれているところが上手い。
「ピングドラムを手に入れるのだ」
この言葉が意味するもの、“運命の至る場所”の真実。
そこに辿り着く者たちは、“きっと何者にもなれないお前たち”。
これは絶対的な、それも利他的な愛の物語である。
宮沢賢治の“銀河鉄道の夜”、その世界観を下敷きに、クリミナル・チャイルドである主人公達や“子供ブロイラー”という刺激的な設定と、“天井桟敷”の信奉者を任じる幾原邦彦監督の演出が、いわゆる“アバンギャルド”に、そしてなにより、耽美な香りを漂わせ、“綺麗”であり続けたいと願いながらも果たせない、そんな我々の心に突き刺さる。
{netabare}「私を見つけてくれてありがとう」{/netabare}
“天気輪の柱”、それは、黄泉の国の入り口である“銀河ステーション”に至る“空の丘”に立つ結界石。
“ピングドラム”に重なるのである。
ARB、石橋凌が叫ぶ『ROCK OVER JAPAN』がこうなるとは!