たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
夢を追う時代ではなく、「地に足をつける時代」
90年代に最初に読んだ「ワンピース」だが、最近は物語の佳境に入り様々な伏線が回収されていゆく壮大な「叙事詩」になっているが。。。
初期のアラバスタ編までは、どちらかといえば「イデオロギー」的な部分で衝撃を受けた記憶がある。
「ドラゴンボール」や「キン肉マン」と違って「正義の味方」ではない主人公モンキー・D・ルフィー含めた麦わらの一味の生き方は、子供漫画において真っ直ぐな少年的英雄譚ではなく、「夢」や「希望」を追いかける際の「覚悟」や「責任」の話をしているのだ。
主人公ルフィーの行動にためらいの感じない姿は非常に「少年的」だが、そのことによって誰かに殺されたり、不慮の事故になったとしても別にかまわない。と、初期では公言している。
これは「夢」を追うことは同時にその「リスク」も背負うという意味であり、間違っても猪突猛進にただ突き進むのではなく、「地に足をつけて」進むという意味である。因みに「行動」が共に「リスク」を伴うという発想は、その後冨樫義博の「ハンターハンター」でも「念能力」や「物語の基盤」で言っていることだ。
90年代といえば、日本は未曾有の不景気に陥り、大手の倒産によるリストラや援助交際、オウム真理教、阪神淡路大震災、酒鬼薔薇生徒殺人事件など暗いニュースばかりの時代である。
しかし、蓋を開けてみればここ20数年経過した日本もさほど変わりなく。。。むしろ悪化していると言っても過言ではない。
そういった社会情勢が、「鬼滅の刃」などのダークファンタジーの大ヒットなどをつくりだしたのであり、
ただ無邪気に「夢を追う」のではなく、「地に足をつけて歩いてゆく」ことに価値を見出している気がする。