「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-(TVアニメ動画)」

総合得点
75.9
感想・評価
409
棚に入れた
1722
ランキング
759
★★★★☆ 3.7 (409)
物語
3.5
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.7

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ネタバレ

ちゃんもり さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

時を超え、無限に広がるFateワールド

日本のとある街、冬木市にて。
万能の願望器である聖杯を巡り7人の魔術師が
7騎のサーバントを従えて相争う魔術儀式。
本編「Fate-stay night-」より15年前に行われた
第4次聖杯戦争に於いて、未熟な魔術師でありながらも
壮絶な殺し合いを生き残った少年、ウェイバー・ベルベット。

彼は聖杯戦争をともに戦った征服王イスカンダルの生き様に
強く魅せられ、また自らが聖遺物を盗んだことでその敗死の
一因を作ってしまった先代ロード、ケイネス・エルメロイに
責任を感じた結果、紆余曲折を経てロードエルメロイII世となり
現代魔術科教授として時計塔の派閥と権力争いに身を投じることになる。

この物語は、少年から大人へと成長したウェイバーが
時計塔にまつわる様々な怪事件に挑む物語。


いやはや、本編→Fate Zero→ロードエルメロイII世の事件簿 と、
スポットライトの対象を変えながら次々と枝分かれしていく
Fateという作品世界の奥深さには脱帽させられる。

本作主人公のウェイバーにしても、Fate Zeroに於いては
ストーリーの主軸を担う存在ではなかった。
たしかに聖杯戦争が群像劇的な側面を持つ以上、彼にも
当然見せ場はあったが、あくまでも衛宮切嗣と言峰綺礼の
歪んだ生き様のぶつかり合いがメインテーマだった筈である。
にもかかわらず、私個人的にはFate Zero視聴後に最も心を
揺さぶられたキャラクターは誰かと訊かれたら、迷わず
「イスカンダルとウェイバーだ」と応えるだろう。
おそらく同じ感想を抱いた方は大勢いるのだと思う。
ともすれば歪になりがちなマスターとサーバントの
関係性において、唯一彼ら2人の関係性は清々しい正義に
満ちていた。おそらくウェイバー少年の生き方はここで
決まったのだ。イスカンダルに「貴様な生きろ、生きて我の存在を
後世に伝えるのだ」と告げられた瞬間に。

本作はロードエルメロイII世となったウェイバーと、
彼がとある村で出会った少女・グレイを中心に英国ロンドンを舞台に語られる。
これまでバトル中心のダークファンタジー要素が強かった
Fateシリーズとは一線を画し、ウェイバーを探偵役とした
ミステリ作品としての側面が強く出ているところが特徴である。
魔術がある以上、通常のミステリとは違い物理的トリックに
焦点を当ててストーリーを構成することに意味はない。
故に本作ではホワイダニット、動機を中心に謎を解いていくのだが、
必然的に時計塔内部の人間関係にも触れていくことになるので
視聴者としても無理なく人間関係が理解できて親切な構成だ。

作品設定上の勢力のひとつとして名前が出ていた「時計塔」内部を
描いているところも興味深い。
UBW世界線では士郎や凛も一時期は時計塔に属していた筈であり、
こういう作品同士がリンクしていく感覚もFate作品の醍醐味の一つ。

また、主演の浪川大輔さんの演じ分けにも感服させられる。
大人ウェイバーの声が思いの外激シブである。なのに回想シーンとかで
感極まったときに思わず少年ウェイバーの声に戻ってしまうあたり
ニクイ演出だ。

作画や演出はまあトロイカということで何の問題もない
(などという感想が出てしまうあたりなんとも贅沢だが)。

この作品、まだまだ派生もできるし続編も作れる、
というか実際にプランは挙がっているのだろう。
一つの作品を作り、その中で産まれた魅力的なキャラクターを
中心にまた新たな物語が語られる。
この黄金連鎖こそタイプムーン最大の宝具である。

是非とも続編を期待したい。

投稿 : 2020/07/04
閲覧 : 370
サンキュー:

5

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