薄雪草 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
響け! 私!
『形(かたち)』だけで良かったのかもしれない。
セーラー服だったり、ちょっと遠い通学だったり。
そんなたわいない理由。
なんとなく環境を変えてみたいと感じていた。
変われたらいいなってぼんやりと考えていた。
思ってはいたんだけど・・・。
いきなり葉月ちゃんの勢いに押しこまれ、
まっすぐ緑輝ちゃんの誘いに引きこまれ、
とどめはまさかの麗奈サン、だった。
秀一は・・・何でいるんだよ。
~ ~ ~ ~ ~
ついに、あなたは現われた。
どれほど、待ちわびていただろう。
あなたが、わたしの音を求めてきたように
わたしも、あなたの音にときめいてみたい。
おとなりのチューバも(チュパカブラ?)
その向こうのコントラバスも(ジョージ君!)
同じよ。
わたしたちは、腕にかかえられてはじめて楽器になる。
それはそれは嬉しくて、心地のよさに身が震えるのよ。
ねぇ。全国って知ってる?
そのステージで演奏してみたい?
あなたを信頼しているわ。
どんなことが起きてもね。
そして、とても期待しているわ。
~ ~ ~ ~ ~
私は、私自身にどんな期待をかけたらいいんだろうか。
いままで、ずうっとユーフォニアムだった。
この先も、やっぱりユーフォニアムだろう。
唇を当てれば、ひとりでに胸が膨らむもの。
奏でたい。
私だけのメロディーを。
重ねたい。
みんなのハーモニーに。
~ ~ ~ ~ ~
ピストンが、違和感を感じている。
(違うじゃないかと訊してくる。)
マウスピースが、身を捩らせている。
(分かってないと糾してくる。)
わたしはあなたの指に質しかえすわ。
(どう押し込めば綺麗なメロディーになってくれる?)
なんどもあなたの唇に質しかえすわ。
(どう吹き込めば狙ったサウンドになってくれる?)
あなたの技術は、わたしの音に及ばない。
(私のアタマは、どうにも回らない!)
~ ~ ~ ~ ~
タクトは容赦なく正してくる。
練習不足がたやすく暴かれる。
未熟さが無慈悲に晒される。
ほとぼりは冷めやらず
(ガンバッテイルノニ)
迷いからも覚めやらず
(がんばっているのに)
特別が何かも醒めやらず
(頑張っているのに!)
わたしたちは、日ごとに青褪める。
~ ~ ~ ~ ~
いきなりピストンは、あなたの(私の)指を拒んだ。
狼狽さえも許されなかった。
唐突にマウスピースは、あなたの(私の)口を退けた。
空気がよどんだまま凍りついた。
予想はしていた。
(予感はあった。)
同じようなことは、前にもあったのよ。
(こんなことは知らない。知りようもない!)
ねぇ・・・・・・悔しい?
悔しいよ・・・。
悔しくて、死にそうだよ!!
~ ~ ~ ~ ~
音楽性を納得させることに
何をすり合わせたらいいんだろう。
追いつけない歯がゆさを
何に置き換えたらいいんだろう。
結果を受け入れることに
どんな強さが求められるんだろう。
悔しさの本当の意味に、ようやく気づけたのね。
悔しさを包み込む勇気を身につけるのは、今よ。
~ ~ ~ ~ ~
放出されるエネルギーを、一つのハーモニーにまとめていく。
小競り合いも、鍔競りあいも、一つのストレングスに高めていく。
どんなに向こう見ずだって言われてもいい。
あなたは(私は!)北宇治の一員なんだ。
響かせて わたしを。
響かせる! あなたを!