ゲリオ さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
雰囲気はあるけど実は中身は無い
動画工房制作の良質アニメーションと実力派の声優さんたちのお陰で重厚なムードを匂わせつつも、ぶっちゃけストーリー自体は特段大したことないアニメだった。
ごく普通のフリーターの男が理由もなく10代の少女に一目惚れされるお話。
一方で主人公自身は大学時代の同級生にお熱なので少女の思いに応えず、ズルズル進展のない日々を過ごしていく中身の薄さ。
ジャンル的には「ラブコメ」ではなく「ラブストーリー」に該当するんだろうけど、ストーリー性はあまり感じられなかったが、こんな内容でも今更アニメ化したってことは一応は当時話題になった作品なんだろうな~。
なんたって原作は1998年に連載がスタートした歴史がある作品である。
舞台は00年代初めの日本。携帯電話をまだ全員が持ってなかったり、街のいたるところでタバコを吸えたり…そこまで古くはないが最近でもない微妙な時代設定。
こんな時代があったなぁという気持ちにさせられた。
雰囲気は大変素晴らしい作品であった。
本作の主要キャラクターは魚住リクオを主人公に、シナコとハルという2人の女性をWヒロインにした形式。
自分は完全にハル派だったけど。
なぜってシナコさんが凄く面倒くさい女性に映ったからだ。
高校(中学だっけ?)時代に死んだ幼馴染を未だ引きずってるのもだし、一度は自分で振ったくせにリクオが他の女性と居るとイライラしやがるのもだし、これ絶対地雷女やんけ!
極めつけは「うち来ない?」と玄関まで誘っておいて「やっぱり帰って」である!!
一方でハルちゃんは純粋で素直に可愛い子ではあったのだが、主人公に恋をした理由が一目惚れという設定はあまりに捻りが無いのではないかと。
昔の漫画だから許されてるかもだが、今じゃありえないの一言で終わる。
なんでもいいから恋のきっかけとなるエピソードを組めば良かったのに、そうしなかったのは「一目惚れ」がトレンディな時代だったんだろうかね?
現実にはそんなこと絶対に起こりえないと思うが。
男キャラに関しては、美少女から奇跡的な一目惚れをされながら、違う女性を追い続けるリクオ。どんな男かといえば、特別イケメンというわけでもなく大学卒業しても定職に付かない冴えない主人公。
そして安全ピンを耳に刺してる頭のおかしいロウ君とかいう小僧。こちらはもはや単なるストーカーで将来が不安視されるレベル。そして声が今やウザキャラを演じれば無敵の花江夏樹きゅん。
思い返せば男も女もしょーもないキャラばかりだった気がしてきた。
ごく普通の男女の恋愛群像劇って言えば聞こえは良いが。
ちなみに本作は全12話できっちりと恋愛模様に終止符が打たれたので、そこは良かった。
ただ、最終話で「そんな大どんでん返しになるんかーい」って視聴者全員がツッコむことになったと思うけど。
まぁ、キャラ全員が一応幸せな結末を迎えることは出来たのでスッキリはしてる。
今までの1~11話はなんだったんだってことだけ抜きにすればであるが…。
最も印象に残ったシーンはリクオとシナコが付き合ってることを目撃してしまったハルが、耐え切れずに落涙した11話のシーンだろうか。
あそこはさすがに見ていて胸が張り裂けそうになりましたわ。
このシーン含め、このアニメの評価の7~8割はストーリー面ではなく、声優さんやアニメ制作サイドさんの演出力によるものだという気がしてきた。
とりあえず内容よりも映像や雰囲気が素晴らしかった佳作アニメです。