タック二階堂 さんの感想・評価
2.7
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 1.5
状態:観終わった
震災関係なくキャラを次々と殺してく…
詳細は公式でも。
「映像研には手を出すな!」のサイエンスSARU制作、湯浅政明監督で、あまりにも有名な小松左京の原作小説を下敷きにした作品。Netflix独占配信中(全10話)です。
という触れ込みだから、当然のことだけど期待感が爆上がり。で、蓋を開けてみると、うーん……。
SARUの背景美術は目を見張るものがありました。序盤の大地震と、崩壊する建物など、見るのもつらいシーンを見事に描いています。
そのぶん、言い方は悪いけど落書きのラフスケッチみたいなキャラデザに、おやおやって感じ。後半になればなるほどデッサンが崩れていく印象を受けました。そのくせ、事前PVの場面だけはきっちり描いてるという。カルト教団で母親が歩の髪を切りながら泣くシーンとか、古賀がKITEの落としたメモリーを拾いに走るシーンとか。
ストーリーは、初回がピーク。突如として発生する日本全土を襲う大地震(まあ地震は突然やってくるものですが)。その被害が広がっていく状況が、緊迫感を持って怒涛のように襲いかかってくる様子が恐怖心を煽り、過去に大きな震災を何度も経験してきた我々には胸に迫るものがありました。
しかし、そこからがいただけない。
{netabare}高台の神社に水が迫ってくるから、東京から脱出すべきだという歩の父親の提案で移動していくわけですが、ここから同行していくキャラが続々と死んでいくわけです。
山芋を掘っていて不発弾を爆発させて落命する歩の父親。まあ、ここまではいい。その後、用を足すため尾根から降りたら有毒ガスで即死した七海、盗みに入ったスーパーの店主の老人、歩の弟である剛と親しくなった元力士の調理人、カルト教団の連中、右翼の国粋主義者たち、助けてくれた猟師の老人などなど。
さらにはモーターボートが引っかかっているロープを潜水して外した歩の母親、そしてメモリーを拾いに行った古賀まで波にさらわれて命を落とすという。
こうなると、もはやストーリー上、邪魔になるから殺して退場させるという脚本の都合にしか見えません。しかも、震災関係ねえじゃんみたいな死に方しかない。ていうか、むしろ地盤沈下して海底へと沈んでいく列島ですから、そのときに溺死していく人々を描くほうが、よほどインパクトを与えると思うのですが。まあ、趣味は悪いけども。
ていうか、中盤に結構な尺を使って描いたカルト教団の本拠地での生活。そもそも、これ必要だったのかな?
終盤の日本全土が水没した展開は、もう乱暴で乱暴で。救命いかだで漂流する歩と剛の元に、手漕ぎボートで助けに来る母親と古賀。すぐに放置されたモーターボートを発見。絡まるロープをほどきに潜った母親が死ぬ。モーターボートで広島に向かうが、その途中で“なぜか”自衛隊の水陸両用車で登場するKITE。
{/netabare}
この流れるようなご都合展開。そもそも序盤から各キャラの掘り下げをほとんどやらないので、キャラを殺して泣かせようとしても何の感情も湧かないんです。
結局すべての面で浅くて雑。
期待を大きく下回った残念な作品でした。