退会済のユーザー さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
古典SF入門超大作by虚淵玄
清々しい程にベタベタで何の捻りも無いドストレートなエンタメSF。映画ってのはこうでなくては。こういう「あー面白かった!」ってスカッと何も後に残らないハリウッド映画みたいな作品ってなかなか日本では作られないから凄く意味のある作品だと思う。尺の短い劇場作品なのでシナリオは王道に。でもそれだと弱いからフックとしての美少女。個人的には要らないが美少女いないと客入らんから仕方ない。ロボだけで喜ぶのはマニアになってしまうのか。一般人はどっちも要らないですかそうですか。
虚淵玄脚本ということでまどかの様な鬱要素や逆張り展開を期待して見ると肩透かしを喰らうでしょう。本作はSFとしてはドストレートに王道ではあるのだがこれは紛れもなく虚淵玄の作品であり、まどかとの共通点もある。それは戦う敵がいない事。魔法少女は魔女の幼体で魔女になる事は確定済。後はどこまで引き伸ばせるかというだけの問題。ディーヴァからの追手も立ち回り次第でいつでもアンジェラと同じ立場になりえる奴隷の様な存在。どちらも敵同士で戦ってるように見えて本質的には同類同士。支配されるシステムからは逃れられず掌の上で足掻いてるだけにすぎないというところが虚淵節なのであり、他の脚本家だと安易に地球人類VSディーヴァの対立でアンジェラが地球側につくという、ベタと言っても程度ってもんがあるだろう、みたいな残念な作品になっていたと思う。ただ明確なネームド敵役がいないので、もしかしたらそっちの方がSFに馴染みが無い方にはウケたのかもしれない。
周回視聴や考察を楽しみたい方には物足りないかもしれないがSF入門用には最適だと思う。こういう作品が売れないとSFモノは衰退するばかり。使い古されたネタというのはそれほどに強度があるということ。それらを見やすくまとめてキレイな作画のロボと美少女で今風に見せてくれるこのSF古典ネタてんこ盛り作品はSF好きこそ広めていくべきものだと思う。
ディンゴの歌もラストシーンとの対比を描く以上は仕方がないんです。まあ唐突だし歌自体もアレなんですが。1人宇宙で歌うフロンティアセッター。あれしかありえないというくらい素晴らしいラストシーンだと思うのです。あまりにもコテコテ。だからこそ良いのです。
というかSFアニメはいつまで電脳ネタやるのかね。脳単体で人格保持出来ないってもうバレてると思うんだけど。