「ダム・キーパー(OVA)」

総合得点
64.8
感想・評価
12
棚に入れた
31
ランキング
3640
★★★★☆ 3.7 (12)
物語
3.8
作画
4.2
声優
3.3
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

暗闇を照らす者達

この作品は、ピクサーでアートディレクターを
担当していた堤大介氏と、ロバート・コンドウ氏が
共同で監督を務めたオリジナル短編アニメ映画である。
ちなみに、トンコハウスのデビュー作でもある。

あらすじとしてはこんな感じ。
大気汚染に覆われているのにも関わらず、その影響下を
受けない小さな街があった。風車の家で暮らす主人公、
豚の少年は8時間に一度風車を動かすことで、大気が
汚染されるのを防ぐダムキーパーの仕事をしている。

だが、彼以外の人々はダムを動かしているのは誰なのか、
ダムのむこう側に何があるのかをすっかり忘れてしまって
おり、豚の少年に尊敬どころか軽蔑する有様。

完全に心を閉ざしてしまう程、非常に息苦しい生活を
送っていた豚の少年。ある日、絵が好きな狐の
転校生がやってきた事で彼の心情に変化が訪れるのだが…。

見終わった感想だが、18分と短いながらもとても濃厚な
時間を過ごすことが出来た。しばらくの間余韻に浸りたい位だ。
だが、思ったよりもダークな展開が含まれているので
表紙だけで判断すると肩透かしを食らうかもしれない。

ナレーション以外の台詞は皆無なため、どちらかというと
無声映画に近いのだが、音声が無くても
どういった物語なのか分かりやすいのは高評価。
変に身構える必要は全くない。

可愛らしさや温かみを感じられる作画もいい味を出している。
のどかな雰囲気を醸し出してはいるが、メリハリを
つけているのだろう、ダークな所はしっかり暗く
表現している印象を受けた。

いじめが題材の一つにもなっており、感情を揺さぶられる
所も多々あった。特に気になったのは、トイレに連れ込まれる
場面と絵を勘違いし爆走する場面だ。

前者と後者では、豚の少年が狐の転校生に抱く印象が
真反対だというのも相まって、一気に引きずり込まれたのは
言うまでもない。

爆走する場面に至っては、後半から周囲の人々
が化け物にしか見えないようになっており、彼の
心理状況が的確に伝わってくる。
(勘違いしているとはいえあの状況下では)
恐怖を抱くのは当然だと言える。

それを機に、職場放棄をしてしまったのも無理はなかろう。
せめて、時計は拾って欲しかったけど。
とはいえ、最後はハッピーエンドで終わるので安心して
見ることが出来る。

これは賛否両論であるのだが、ナレーションの声が
少しばかし聞き取りづらい印象を受けた。
これがいい味を出しているのだとの意見が
出ているが、それならいっそのこと字幕を
付けて欲しいとの要望があったのも事実。

私が見た限りでは、字幕が作品の
邪魔にはならないと判断したので、
付けても差し支えないと考えている。

視聴媒体はトンコハウス公式のyotubeチャンネルだが、
メッセージを踏まえた上で視聴したというのも相まって、
今の時代だからこそ響くものがあるのではと感じたのは事実。

人を尊敬する気持ちを養う教材としても比較的勧めやすい
のではないかと感じている次第だ。
現時点ではまだ、youtubeチャンネルでの視聴ができるので、
興味のある方はどうぞ。
個人的には間違いなく良作だと思う。

投稿 : 2020/06/28
閲覧 : 298
サンキュー:

9

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