シャベール大佐 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
リアル寄りな作風で描く、四角関係の恋愛アニメ
動画工房制作の、落ち着いた雰囲気の恋愛もの。全12話。
原作漫画は98年に連載開始ということですが、作中で携帯電話を使っていないあたり、もう少し古い時代っぽい感じもしました。内容的には、主人公である大卒フリーター・リクオを中心に、ハル、榀子、浪という、4人の主要キャラの四角関係の恋が描かれます。ストーリー自体は特に劇的なことが起きるわけではなく、どちらかというとリアル寄りの作風。個人的には、普通に楽しめましたが、特に先が気になるというほどでもなかったです。そのいちばんの理由は、キャラにあまり魅力を感じなかったこと。リクオについては、モラトリアム設定は理解できますし、内面もまあ優しく誠実な人間ではありますが、そのくらいの長所ならば世の中ありふれているわけで、積極的に応援するほどの動機にはなりませんでした。榀子についても、可も不可もない印象は同様でしたし、浪に至っては自分勝手な悪いイメージのほうが強かったです。唯一ハルは、ナチュラルに好感が持てるキャラでしたが、その想いを寄せる相手は微妙なリクオなわけで、結ばれても結ばれなくても、どっちでもいいかな、くらいの感覚で眺めていました。現実感のある物語を作るために、どこにでもいそうな人間を描くことが必要なのはわかりますが、その場合、外見や能力が平凡であっても、内面には非凡なもの(愛する気持ちの強さなら誰にも負けないとかでもいいので)がないと、主人公としてはちょっと弱いように思います。
作画はとても綺麗。音楽も悪くなかったですが、OP曲がない構成は、少し物足りなかったです。声は、リクオの小林親弘と榀子の花澤香菜が役柄にぴったり合った好演技でしたし、ハルの宮本侑芽も、元々好きな声質ということもあってか、とても魅力的に感じました。
最後まで観終わって、物語の満足度はそこそこでしたが、作品全体としての品質は高かったと思います。恋愛ものが好きな人ならば、観る価値は十分あるんじゃないでしょうか。