ようす さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「この世にいてはならない場所など誰にもないのだ。この世のすべてが、お前のいるべき場所なんだ。」
蟲師の2期です。
1話完結タイプなので、2期からの視聴も可能ですが、
1期から楽しむことをおすすめします。
1期のギンコを見てきたからこそ考えさせられることもあるので。
2期は全20話です。
(+特別編が2話分あります。)
● ストーリー
「およそ遠しとされしもの──下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達。それら異形の一群を、ヒトは古くから畏れを含み、いつしか総じて“蟲(むし)”と呼んだ。」(冒頭ナレーションより)
そんな蟲たちと人をつなぐ存在が、蟲師。
蟲師のギンコは、蟲たちが引き起こす奇怪な出来事を解明したり、
困っている人たちに助言したりしながら、あらゆる場所へ赴いていた。
蟲とは、私たちのそばにあって、
生き物とそうでないものの狭間のもの。
見える人と見えない人がいる。
そういう意味では妖にも近い。
妖と違うのは、彼らが生きているということ。
他を脅かすために存在しているのではなく、ただ生きている。
しかし、その生が時として人の生活に困った影響を及ぼすこともある。
その謎を解明し、困った人に手を差し伸べ、解決に導くのがギンコ。
蟲師は、お医者さんみたいでもありますね。
虫の特性を理解しているから、対処法もわかる。
どんな蟲が、人のどのような行動を要因として現象を起こしているのか、
それを解き明かす様は、探偵のようにも見えます。
人によくない現象を与えるからと言って、
決して蟲を悪い者扱いしない。
一緒にこの世に生きているものとしての敬意や、
蟲に対する愛情のようなものがギンコの言葉からは感じられます。
あらゆる生命と共存できるかどうかは、
人次第なのかもしれない。
人が恐れすぎたり、拒絶しすぎたりするから、
悪いものとして映ってしまうだけで、
捉え方次第で、共存できる道は確かにあるのだ。
これまではそれなりにハッピーエンドで、
救いを感じられる話が多かったのですが、
2期ではうまくいかなくて、
ずーんと暗い気持ちになる話も多かったです。
人がその結果を引き起こした話もあるし、
どうしようもなかった話もある。
蟲と共に生きるというのは、
いつでもうまくいくわけではないということなのかしら。
それでもギンコは、
人と蟲がうまく共存できるように手を差し出し続ける。
その人の抱える事情には深入りしすぎず、
それでも今起こっている問題を解決しようと力を尽くす。
その距離感や優しさがたまらないわ。
ギンコいい男(*´∀`*)
そうして、一見不幸に見える中でも力強くあり続け、信じられると思えるもの。そういうものの存在に救われる気持ちになります。
≪ 日本の原風景 ≫
いつの時代の話かはわかりませんが、ギンコが訪れる場所は、山に囲まれていて、集落という形で人々が支え合っている。
そんな自然あふれる場所の風景が、とても美しい。
人、自然、蟲。
その三者の交わる場所が、これほど美しく描かれている作画を味わえるだけでも、うっとりします。
実写映画の映像もちらっと見たのですが、
私はあまり好きになれませんでした。
(ちらっと見ただけだからかもしれませんが。)
アニメだからこそ味わえる、緻密で繊細に描かれた自然の魅力。
そういうの、好きなんだなあ^^
人々の暮らしは豊かではありませんが、
ひっそりと、確かな喜びがある。それで幸せじゃないですか。
幸せは難しいことじゃない。人と比べるものでもない。
そこにある喜びを抱きしめればいいだけ。
この作品は1話完結のオムニバス形式のため、
いろんな人たちが登場します。
登場した人の数だけ、人生がある。
一生懸命生きている今がある。幸せがある。喜びがある。
全話を見て振り返ると、
どれもかけがえのないものだと感慨深くなります。
● 音楽
静かで、ゆったりとしたBGMが多いです。
だけど、蟲師の世界観には欠かせない音楽たち。
雰囲気にぴったりな曲ばかりで、素晴らしい!
自然をながめながら、ただぼーっと、この音楽を聴き続けていたいです。
● まとめ
やっぱりこの作品の雰囲気が大好きです。
2期を見て、これまで以上にそう感じました。
ホラーっぽいと言われればそうかもしれませんが、
怖いだけで終わらない優しさと力強さがこの作品にはあります。
古き良き日本の原風景。
その中で蟲との共存のために歩み続け、人の助けとなる。
自然と共存することは確かに難しいけれど、
理解すればなんとかなることもある。
それは蟲も同じで、確かに厄介で恐ろしい相手ではあるけれど、
理解すれば、きっとなんとかなる。
蟲と人間、その架け橋がギンコ。
彼の旅をこれからもずっと見守っていたいなあ。