STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
キャラの魅力と、会話劇としての面白さ
原作は未読。
主舞台となる地方のラジオ局だが、普段窺い知ることのできない世界だけに、その舞台裏の
描写はなかなか興味深いものがあった。
こういった面白さは主人公である鼓田 ミナレの努めるスープカレー屋「VOYAGER」に
代表される北海道文化とも言うべき描写に関しても同様の感があった。
ミナレの番組「波よ聞いてくれ」だが、、劇中で例に挙げたオーソン・ウェルズの
ラジオドラマの「宇宙戦争」のようにフェイクドキュメンタリーとしての側面があり、
劇中劇としてもなかなか面白いものだった。
終わってみるとストーリーはさほど動いていないことに気付くが、それでも濃密な印象が
あるのは、最初から最後までミナレの勢いに引っ張られた感があったのと、キャラ達の会話劇の
面白さとそのテンポの良さに魅入られたためかなと。
印象深いキャラは多かったが、並べてみるとやはりミナレが際立つ。
まあ喋る量からして他のキャラを凌駕しているが、設定的にその声質自体が魅力的と
いうことで、この辺に関してはキャストの杉山 里穂氏の演技がミナレの魅力に相当
貢献していたように思えた。
彼女の喋り、言葉選びの面白さはラジオ向けという感じだが、それだけでなく自由奔放な
生き方や、それでいてすぐに自身の行動に後悔しまくっている点など、喋り以外の部分も
面白かったりする。
表立って強いテーマを打ち出してはいなかったが、ミナレを始め、多くのキャラが自分の
進むべき道を将来ではなく、直近の問題として模索することが多く、そういう点は学生キャラが
主体の作品にはできない、社会人キャラだからこそ描けるテーマ性を感じた。
2020/06/26
2022/01/02 加筆・修正