森可成 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
神様は勇気とか希望とかいった人間賛歌が大好きだし、それと同じくらいに血飛沫やら悲鳴やら絶望だって大好きなのさ。
作中での雨生龍之介のセリフです。
これは神様を虚淵玄に変えれば
そのまま虚淵玄作品を説明できる
大変便利なセリフです。
雨生も人の役に立てるのですね。
虚淵玄さんは大変多才な方ですが、
鬱アニメの大家という印象が強い。
ご本人も自覚はあるのか
「楽園追放」に携わった際には、
「俺だって人が幸せになる作品が書けるんだ!」
とドヤったそうです。
実際、「楽園追放」や「翠星のガルガンティア」
等ライトな(比較的ですが・・・)作品も
ありますね。
まあ、作風がストレートなので
暗喩とかブラックユーモアは得意ではないようです。
田中ロミオ氏の「人類は衰退しました」について
「こんなに黒い話は自分の作品とは比較できない」
と吐露しておられるように自覚はお持ちのよう。
また小沢仁志さんばりの強面でありながら
謙虚な方で作品のあとがきなどで
着想の元になった作品を律儀に教えてくれます。
そんな虚淵玄さんを楽しむなら、
やっぱり「Fate/Zero」かなあ、
と個人的には思ってます。
奈須きのこさんの世界観ととても
マッチしているから。
虚淵玄作品って
わかりやすい善悪二元論にしないですね。
そりゃ雨生とかいかにも悪人だし、
アーチャーはクソ強いですけど、
絶対悪!というのとは違う。
そこにあるのはただ意志。
どちらも正しくてどちらも間違っている。
どちらが勝っても残酷で、そして美しいです。
また犠牲は虚淵玄作品、
共通のテーマだと思うのですが、
これは究極の形で提示されましたね。
多数の幸福のために少数を切り捨て、
果てに最愛の家族を犠牲の勘定に容れられず、
正義の味方としての在り方さえ
見失ってしまう。
・・・もう、ここまできたらアッパレですよ。
最後に士郎と出会って何となく救われた感
出してましたけど、
聖杯戦争ってこんなに悲惨で
救いのないもんなんすか!
と私はビックリしたものです。
名前にZEROが付いてるし、ちょうどリアルタイムで
見れたので「stay night」より先に見ちゃったんですよね。
おかげで他のfate作品への耐性はばっちりでした。