STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.5
作画 : 2.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
作画はひどいが、ストーリーは・・・
原作は未読。
作画はひどい。一周回ってネタ的な面白さを感じたりもしたが。
加えて試合シーンの動きなどはCGを多用していたが、この動きが変にヌルヌルして
人形のような印象。
原作は「まんがタイムきららフォワード」掲載だそうだが、きらら系と言うと
動画工房辺りなどが制作を手がける良い作画というイメージがあるので、より不遇な感がある。
しかし、作画に反して、ストーリー中での試合展開などはかなり面白いものだった。
ドラマティックな攻防がありつつも、ちまちました戦術や駆け引きがあり、この両者の
バランスが良い。
こうした駆け引きには心理戦要素が強く、それがキャラの掘り下げにも繋がっていた感じ。
この試合内容の面白さに一役買っていた感があったのが、マネージャーでありながら
実質的指揮官である川口 芳乃の存在。
他作品の参謀キャラに見られるような自信満々の策士振りを披露するのではなく、自身の判断に
悩みながら試行錯誤していくのがいい。
また指示の仕方が指揮官らしからぬ可愛らしいものであったのも印象深い。
序盤はチーム作りから始まるが、既に部が存在するパターンが多い男子野球ものに対して、
女子野球ものとしては王道の展開と言えるもので、こういった仲間が増えていく楽しさは
ファンタジーものなどにも通じる楽しさがある。
試合自体は主に柳川大附属川越高校との練習試合、全国大会県予選の対県立影森高校戦、
対梁幽館高校戦の3試合。
2番目の影森はハイテンポな試合が持ち味だったが、それが勝つための戦術ではなく、早く
帰って練習がしたいがためという理由がなんとも面白いところ。
試合展開が特に良かったのは本作のハイライトとも言えそうな終盤の梁幽館高校との試合。
明らかにチームの力量は新越谷高校より梁幽館の方が上であることを描きつつも、スコア上の
点差はそこまで大差のあるものではないため、終盤での逆転劇も無理のない感じ。
特に野球という競技の性質上、チームの力量に明確な差があっても、力量の劣る側に良い投手が
いると結構接戦になることは多々であるため、この試合展開は自然な印象。
そんな勝利の立役者だったのが主人公でエースの武田 詠深だが、ブーイングを浴びようが、
打たれようがへこまないメンタルの強さが魅力。魔球や強ストレートよりこの強靭なメンタルが
最大の武器なんじゃないかと思ったり。
投手としての凄さとは裏腹に打撃に関しては、本人の意気込みと周りの期待度の低さの落差が
もはやネタのレベルに達していて面白い。
女子野球ものだとバッテリーの百合的描写があったりするが、本作における詠深と捕手の
山崎 珠姫のそれは他作品以上に百合要素が強く、そのイチャイチャ振りも見所の一つといった感。
対梁幽館戦のもう一人の勝利の立役者が打撃側の主人公といった感の中村 希。
彼女の逆転ホームランは単に試合をひっくり返しただけでなく、それまでの運の悪さもあって、
結果を残せなかったくすぶりを一気に払拭したり、自身の采配に悩む芳乃を元気付けるという
点でもより劇的なものに。
この希と芳乃の関係性も、詠深と珠姫の関係性とは異なる良さがある。
キャラクターの体型がいかにも「スポーツやってます」といった感じの筋肉質なもので、
いわゆるきらら系らしからぬものだたが、個人的にはこういったリアリティは良かった。
2020/06/24
2021/11/01 加筆・修正