森可成 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ただの人間をバカにする話じゃないですよ
私は「けいおん!」からアニメを
見るようになったので
「涼宮ハルヒの憂鬱 」を
一期、二期ともリアルタイムでは
見ていませんでした。
さすがに評判は知ってましたね。
筒井康隆先生が原作を誉めて
話題になりましたし。
で、アニメを良く見る人に聞いたら
「涼宮ハルヒの憂鬱 」は
必ず話題に出てきたので、
おおっやっぱり名作なんだな、
と思い観てみたわけです。
本作をご覧になった方で記憶に強く残る
場面ってどこでしょうか。
やっぱり
「ただの人間には興味ありません。」
になるんでしょうかね。
私も、
いきなりなんなんですか?
ってなりました。
でもこのセリフはハルヒの破天荒さを象徴するもの
だけではなく視聴者を敢えてミスリードさせるギミック
だった・・・と思うようになりました。
ハルヒは特別な人間だと思っていた自分が、
one of themに過ぎないことに絶望した人間です。
その結果、自分のことはあきらめて
非日常ばかりを追い求めるようになります。
ハルヒはあまりにエキセントリックな行動を
とるし、基本自信満々なので忘れがちに
なりますが、案外卑屈なところがあるんですよね。
ハルヒは実際は宇宙規模に特別な人間ですが、
本人がそれに気づかないため
その卑屈さは消えません。
そのため早々と世界崩壊の危機を
招くわけですが、ここで問題を解決するのは
普通の人間のキョンと
普通の人間だと思い込んでいるハルヒ
なわけです。
ハルヒが望んでいた徹頭徹尾
非日常な存在ではなく。
普通の人間であることに絶望し、
非日常に憧れるハルヒは、
実際は特別な人間であることにも
係わらず嘆き続ける。
これって正に普通の人間の行動ですよね。
誰もが自分と誰かを比べ、悩む。
ハルヒだってそうだったわけです。
ハルヒこそがただの人間なんですよ。
最初はちょっとハルヒを
受け入れられないキャラクターだと思った人も
この事に気づけば親近感が湧きますよね。
上手いなあ、と思いました。
まあこれは原作が上手いからなのですが、
ミクルちゃんをいじめても許せるようになりました。
しかしアニメとして評価が高いのは
紛れもなく京都アニメーションの力でしょう。
京アニは
バカなことを大真面目にやる会社です。
京アニ作品に触れた方は誰しもが、
何もそこまでこだわらんでも・・・
と思ったことがありますよね。
バンド演奏シーン、エンドレスエイト、朝比奈ミクルの冒険
など印象的で話題に上りやすい。
正直藤井聡太七段について
若さと勝負飯だけ話題にするようなもんだ、
と思わんでもないですが
私も好きな場面なので批判する気はおきませんわ。
まあ、ハルヒのキャラクターは
今のアニメ基準だと、相当尖ってますよね。
ただのウザい人間だと思われそうです。
それもあって若者には薦めてませんね。
おっさん同士で酒の肴にするのにとても適した作品です。