しんちゃん さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
破滅…じゃなくて恋愛フラグ全回避という謎のラブコメ(笑)
基本的に異世界転生もの(いわゆる「なろう系」)は、「このすば」をのぞき完全にフォロー外で、この作品も当初はタイトルだけ見て食わず嫌いしていましたが、予想外の好評を聞きつけて見始めたところ、笑いが止まらない!最後までハラハラドキドキしながら楽しませていただきました。おそらくワタクシ的には今期の覇権と言っても過言ではないほどの高評価です。
{netabare}では、従来のなろう系作品とこのアニメは何が違うのか?ということなのですが、(そもそもなろう系をあまりよく知らないので間違ってるかもしれませんが)
・なろう系の主人公が持っていがちで、前世の記憶や自分だけが持っているチートアイテムなどがほとんどなく、しかもゲームシナリオどおりに行けば「破滅エンドしかない」という最悪状況の中に放り込まれるという意外性
・なろう系の物語とは、主人公の前世(つまり読者の現世)における劣等感をすべてひっくり返し、それを忘れることができるような無双的状況や薄っぺらいご都合主義な展開を楽しむものだと思うのだけれど、この作品は上記のような設定ゆえに、むしろ主人公の前世への未練やそこでの人間関係などが回想などによって差し込まれ、物語世界の人間関係に重層的な深みや陰影が加わっている
といったところが、大きな違いなんじゃないか(そしてこの作品の魅力になっているんじゃないか)と思う次第です。
とはいえ、{/netabare}主人公はじめ周囲のキャラが(いずれも暗い過去を持ちながらも)皆イヤなところのまったくない善人ばかりで、最初から最後まで安心して見ていられるというのが良かったです。
ジャンルとしては「ラブコメ」なのかもしれませんが、主人公がすべての破滅…じゃなくて恋愛フラグを回避し続ける作品を「ラブコメ」と呼ぶのは、果たして正しいのだろうか?という疑問もありますね。(笑)
ちょうど4~5月はコロナ禍で外出自粛といった社会情勢もあり、何かと気の滅入ることの多かった時期でしたので、そのタイミングでこのように脳天気でハッピーな気持ちになれる作品が見られたことは、本当にありがたかったです。まさに「時宜を得た」と言うべきでした。