はな さんの感想・評価
2.5
物語 : 4.0
作画 : 1.5
声優 : 2.0
音楽 : 1.0
キャラ : 4.0
状態:今観てる
作画ハンデを忘れさせる心理描写の熱いスポ根
ネタになるくらい凄まじく荒れた作画と、動きを補完するための3Dがむしろ気味の悪さすらある崩壊ビジュアルに拍車をかける本作、荒れた作画が苦手な人にはとてもお勧めできない。
音楽はOPもEDも記憶に残りにくいもっさりした曲調で、劇伴も種類が少なく、鳴ってたか分からないほど存在感もないしどこにも響かない。場面によって邪魔にすらなる。
野球をするというのに長い髪振り乱して、生脚を出してスライディングしたり、原作の可愛らしい見た目をムキムキな頭身に爆上げして時代がすこし気味なキャラクターデザイン。
昨今の高品質なアニメーションの中では見劣りなんてレベルでは済まないほどの、初回大量失点だが、
魂を感じる良作だとあえて評したい。
野球に打ち込み何より楽しみ、理不尽に打ちひしがれて野球から距離を置いた先輩たちを引き入れ直し、不器用でみんな何かが足りないなりに本気になっていく様が熱い。
序盤の試合が始まるまでの退屈な時間も、ありきたりなのに温度があって、テンポよくダラダラさせない程度にお約束のシーンと熱いシーンを使い分けていく演出。
前述の大ハンデがずっと画面に存在しているのにきちんと見いれるのは、必死でこれらを振り回しながら作品を立ち上げている人たちの魂の技だと感じる。
全体的に心理描写やモノローグに緩急の緩急とテンポが凄まじい。一見頭が少し足りないのに超能力だけ持ってる女の子たちという描写だが、野球や仲間たちに真剣に向き合っている様子がキャラクターとしての存在感を厚くしてくる。
見た目も設定もアンリアルで酷いハンデもあるが、彼女たち全員がモノを考えている。迷って悩んでを瞬間瞬間繰り返し、さし合い読み合う。ただの野球マニアかと思いきや、データマニアのゲス軍師。序盤は試合を掌で転がす手腕を見せながらも、悩んで悔やんで歯を食いしばって目を泳がせるシーンは、なぜこの作画でこんなに気持ちが入るのが不思議でならなかった。描くべきものを描いている。
絵が整う時間はほんのワンカットもない。
使い回しのシーンも無数にある。
だというのに手に汗握り、短いカットが重なる投球シーンに、スラッガーの振り抜く握りの一瞬から目が離せない。
何を見せてて、ここで息を飲ませると、しっかり考えて演出されている。
試合数も少なく展開に出し惜しみがない。
短い話数でしっかり楽しめる良作だと言えると思う。
ぜひ原作が進んだ際には同じ監督に続編をとって欲しい。