タック二階堂 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
本物の“私”を取り戻すために…
詳細は公式でも。
Netflixオリジナルアニメとして2018年に配信されている作品です。2020年の夏アニメとして放送されるみたいですね。このご時世ですんで、新たに制作するよりも、ありものを放送しましょうってことかもしれないですね。
内容をざっくりと。交通事故で父親を亡くし、自分も大きな怪我を負って、歩くことができない橘アイコは病院付属の高校に通っています。
ある日、神崎雄哉という転校生がアイコを連れ、ダイバーと呼ばれるフリーのレンジャーたちの元を訪れます。
折しもアイコたちの住む富山の黒部峡谷一帯はアイコが事故で大怪我を負った直後に起きた「人工生体」研究中の大事故“バースト”によって、暴走した人工生命体“マター”に侵蝕され、黒四ダムまでは政府から立ち入りを禁じられています。
そのバーストの中心地“プライマリーポイント”にダイバーたちと向かうと告げられたアイコ。そこには、死んだと思われていたアイコの母と弟が生存しているという。はたして、無事にアイコたちはたどり着き、バーストを止めて母と弟を救い出せるのでしょうか。
というお話です。
ネタバレを含みますので、これからご視聴の方は絶対に開いてはダメですよ。振りじゃなくて。
{netabare}
この作品の最大のポイントは、プライマリーポイントに向かうアイコが実は人工生命体で、バーストを引き起こしているのがオリジナルのアイコということです。
もうひとつ、序盤からちょいちょい名前の出てくる由良という天才学者が、実は神埼だったということもポイントです。これは5話ぐらいで気づきましたけど。
序盤こそ、プライマリーポイントに向かう一行とマターとのバトルがメインで、こういう話なのかなーと思っていましたが、徐々に明かされるアイコの謎。そしてバーストがなぜ起こったのかという核心が語られ始め、少しずつサスペンス物っぽい展開へ変わります。
最終局面では、アイコが実はニセモノだったと知らされ、ニセモノの脳と本物の脳を差し戻すことでニセモノが消滅し、バーストが終わると知り、動揺します。しかし、本物と会うことで、旅してきたニセモノのアイコは施術を受けることを決意。自分が消滅する道を選びます。
神埼はふたりとも残すために奮闘することを誓いますが、やはり難しかったのか、ニセモノのアイコは消滅しかけます。そのとき、ブニョブニョしたマターが出てきて中からニセモノのアイコが! 実はアイコの父親が誕プレに渡した人工生命体“グミ”がアイコの体組織をトレースしていて再構築することができたのでした。
{/netabare}
全12話で、起承転結うまくまとまった良作だと思います。少し強引な理屈かなと思うこともありますが、まあ概ね腑に落ちる内容。あまりにも神埼が何も説明しないもんだから観ているこっちも怪しさを感じますが、それはまあ、そういう事情であるから納得です。
いくつかのご都合(小佐波がマターに食われるとか、南原が自衛隊を止める策とか)はありますが、話の本筋ではない些末な部分なので問題はないかと思いました。
制作はボンズ。だからってわけでもないかもしれませんが、最初にキャラデザを見たときなんとなくチャイカっぽいなって感じました。なんか垢抜けない作画ですが、かなり良好。丁寧に作られていて高クオリティです。
アイコのCV:白石晴香さんが好演でした。
さすがネトフリオリジナル。時間とお金をふんだんにかけたんだろうという感じ。「血界戦線」みたいなことにはならないわけですねw
派手さはないけど、実に手堅い良作という印象です。観て損はしないと思います。